人手不足解消の一つとしての採用手段見直しの必要性

 

新潟経済社会リサーチセンターの小林です。

最近、企業の皆様とお話していると、必ずと言っていいほど話題になるのが人材・人手不足についてです。実際、足元の新潟県内の有効求人倍率は、求職者数が求人数を上回る1を超える状態が続いています。そして、この人材・人手不足の影響が様々な面で経営にも出ているようです。

 

新入社員 就職

 

人材・人手不足の影響

中小企業庁「中小企業白書(2017年版)」によると、人材不足と人手不足それぞれが企業経営に大きく影響を及ぼしているとみられることが分かります。なお、同白書では「高い専門性や技能等を有し、事業活動の中枢を担う」人材を「中核人材」、「中核人材の指揮を受けて、事業の運営に不可欠たる労働力を提供する」人材を「労働人材」と定義しており、本記事では「中核人材」を人材、「労働人材」を人手として表現することとします。

まず、人材不足による経営への影響について、中小企業に尋ねた結果をみると、「新事業・新分野への展開が停滞」や「需要増加に対応できず機会損失が発生」「技術・ノウハウの承継が困難」「現在の事業規模の維持が困難」などを挙げる企業の割合が高くなっています。人材不足により、売上高や事業規模の維持はもちろんのこと、新事業の展開などの拡大が困難になりつつあることがうかがえます。

 

 

一方、同様に人手不足による経営への影響を尋ねた結果をみると、「需要増加に対応できず機会損失が発生」や「現在の事業規模の維持が困難」などを挙げる企業の割合が高くなっています。また、「新規採用のためのコストが増加」や「時間外労働の増加により人件費が上昇」「定着のために賃金を上げざるを得ず人件費が上昇」なども高くなっています。人材不足と同じく、売上高や事業規模の維持が困難な一方で、人手不足に関しては、採用にかかるコストや人件費の増加を問題視する企業が多いことが分かります。

 

 

企業と求職者の考えや意識にずれ

それでは人手を確保していくために、中小企業はどのような採用手段を有効と考えているのか、反対に働き手の側は求職活動に当たりどのような媒体を有効と考えているのかについて、企業側と求職者の双方に尋ねた結果をみると、中小企業では「ハローワーク」や「親族・知人・友人の紹介」「新聞・雑誌等の紙媒体の求人広告」などの割合が高くなっています。一方、18~34歳の働き手の側では「ハローワーク」や「親族・知人・友人の紹介」が高いものの、それらに加えて「就職ポータルサイト」の割合が高くなっています。特に、「就職ポータルサイト」の回答割合については、18~34歳の働き手の方が企業よりも高くなっています。

 

 

また、人手を確保していくうえで、企業が求職者に重点的に伝えた情報と、反対に求職者が重視した企業情報について尋ねた結果をみると、中小企業では「仕事内容・やりがい」や「給与・賞与の水準」「就業時間・休暇制度」「沿革・経営理念・社風」などが高くなっています。一方、求職者でも「給与・賞与の水準」や「就業時間・休暇制度」「仕事内容・やりがい」などが高くなっており、順位の違いはあるにせよ、中小企業の上位項目と同様となっています。しかし、「仕事内容・やりがい」の回答割合をみると、18~34歳の働き手の側は中小企業の概ね半分程度となっているほか、「沿革・経営理念・社風」や「技術力・サービス力・社会的意義」などについても、18~34歳の働き手の側は中小企業の回答割合を大きく下回っています。

 

 

まとめ

以上のように、中小企業と求職者の間では、それぞれが有効と考える採用(求職)の手段にずれが一部にあるほか、採用(求職)時に重視している情報の内容についても差異がみられるところもあります。

そもそも求職者数の絶対数が少なくなってきているなか、中小企業にとっては求職者と出会うチャンスが以前に比べて少なくなってきていると思われます。しかし、上記のとおり、求職者の意向やニーズに合わせた採用活動を企業が十分に行なえていないことも、人手確保を難しくしている要因の一つと考えられます。自社の採用手段や情報提供の内容や方法などを見直してみてはいかがでしょうか?