国土強靭化と新潟県の役割

 

こんにちは、リサーチセンターの尾島です。

さて、今回は、国の「国土強靭化計画」についてご紹介します。

政府の地震調査研究推進本部地震調査委員会は、首都直下地震や南海トラフ地震が今後30年以内に発生する確率を70%と予測しています。

そして、実際に発生した場合、首都直下地震の被害想定(都心南部直下地震M7.3の場合)は、死者が最大で約2万3千人、経済的被害は約95兆円と想定されています。

さらに南海トラフ巨大地震の被害想定では、死者が最大で約32万3千人、経済的被害は約214兆円とされています。

被災可能性のある対象地域としては、首都直下地震が関東地域、南海トラフ巨大地震は中部・近畿・四国・九州と極めて広大な地域に及んでいます。

このため、国では「強さ」と「しなやかさ」を持った安全・安心な国土・地域・経済社会を構築するため、公共施設の耐震化や、老朽化した交通インフラの修繕などの国土強靭化を進めています。

 

新潟市は、日本海側唯一の計画策定市

現在国土強靭化地域計画に向けた取り組みを公表している都道府県は2015年8月18日現在40都道府県で、6道県が既に計画を策定済みです。 市区町村では、27市区町が取り組みを公表しており、5市町(旭市、新潟市、松本市、広川町、高知市)が既に計画を策定しました。

注目したいのは、日本海側の市区町では、唯一新潟市が今年の3月に計画を策定したことです。 新潟市の国土強靭化計画で特徴的なのは、大規模自然災害から市民を守るとともに、首都圏での大災害を想定した場合の救災・代替機能の強化を明示していることです。

 

(資料)新潟市ホームページ(http://www.city.niigata.lg.jp/shisei/seisaku/)

(資料)新潟市ホームページ(http://www.city.niigata.lg.jp/shisei/seisaku/)

 

防災・救災における日本海側の地域連携

実際に、2011年の東日本大震災時には、太平洋側にある東北地域の港湾が使用困難となったため、新潟港から仙台に伸びる天然ガスパイプラインを利用してLNGガスを供給しました。

また、日本海経由の道路を使って新潟港に集荷した物資を被災地域へ搬入するなどにより関連施設の復旧が進みました。

今後、太平洋側で不測の事態がもし発生した場合には、日本海側の国際重要港湾である新潟港が重要な役割を担うことになるでしょう。

エネルギー面では、新潟県は、現在県内で電力事業者が発電する電力の6割を県外に供給しているほか、日本一の天然ガス供給量を誇り、日本海側から太平洋側へのエネルギー供給拠点でもあります。

さらに、新潟県は全国一の米産出県であり、米菓や切り餅・包装餅の出荷額も日本一です。「食」関係の産業が集積しており、「食糧の供給基地」の役割を十分に担える県でもあります。

あってはならない想定を超えた大震災が、もし太平洋側で発生した場合には(日本海側に発生する可能性もあるわけですが)、日本海側に空港・港湾があって首都圏から約300kmに位置する本県の役割は重要です。

その場合、政令市である新潟市一自治体で対応できるものではありません。新潟県と北陸地域、北海道、九州地域が連携して取り組むべき国家の安全保障に関わる事態といえるでしょう。

災害発生を想定した時に、一刻を争う救災・減災、そして避難者の受け入れの対策には、平時から広域連携で取り組む国土強靭化計画が必要です。

さらに首都圏の未曾有の災害発生時には、実際に日本海側、港湾・空港施設が機能し、救災・減災機能を果たせるのか。空港・港湾機能の強化や高速交通ルートの未整備区間の解消、日本海側の高速移動についても国土強靭化計画の一貫として検討する必要がありそうです。

(資料)内閣官房「国土強靭化」(http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kokudo_kyoujinka/)

(資料)内閣官房「国土強靭化」(http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kokudo_kyoujinka/)