上杉謙信公の愛刀は越後国へ帰れるのか? ―実現すれば、新潟県で2つ目の国宝―

上杉謙信公

新潟経済社会リサーチセンターの高田です。

最近、全国的に注目されているのが、上杉謙信公の愛刀で国宝の「太刀無銘一文字(号 山鳥毛)」を上越市が購入するかどうかの問題です。上越市では、故郷の英雄ゆかりの品ということで、購入を熱望する市民がいる一方、3億2,000万円という購入金額に対し税金の無駄遣いと問題視する市民も多いため、まずは購入のための寄付金を募ることとなりました。

2016年9月6日に設立された「国宝謙信公太刀(山鳥毛)収集市民会議」が中心となり、市民などを対象とした募金活動が始まっています。また、市外の人に対しても「ふるさと納税」制度を活用した寄付を呼び掛けています(http://www.city.joetsu.niigata.jp/site/ museum/donation.html)。さらに、上越市は市内の企業にも寄付を呼び掛けているほか、2017年度には「企業版ふるさと納税」を活用し、市外の企業からも寄付を募る予定となっています。

上杉家は、謙信公の甥で後継者の景勝公の時代に、会津を経て米沢へ転封させられたため、新潟県内には謙信公ゆかりの品はあまり残っていません。

謙信公に関連した国宝については、上杉家に伝わる鎌倉時代から江戸時代までの古文書群「上杉家文書」や、織田信長が謙信公に贈った狩野永徳の作品「洛中洛外図屏風(上杉本)」は米沢市上杉博物館が所蔵しています。

また、謙信公は戦国時代きっての愛刀家として知られていますが、常に側に置いていたとされる「短刀 銘(表)備州長船住景光 (裏)元亨三年三月日(号 謙信景光)」も国宝となっています。しかし、この刀はもともと武蔵国秩父郡出身の大河原時基の刀であったため、埼玉県立歴史と民俗の博物館が所蔵しています。

ところで、全国に1,101件ある国宝のうち、新潟県にいくつあるかご存知でしょうか。残念ながら、新潟県にある国宝は、十日町博物館が所蔵する「新潟県笹山遺跡出土深鉢形土器(火焔型土器)」ただ1件となっています。

 

国宝の件数

▲ クリックすると鮮明に見えます。

 

国宝は、東京並びに京都・奈良を中心とした関西圏に集中しており、多くの地方ではなかなか目にする機会が少ないのが現状です。

県内で「刀」「国宝」といえば、3年前に亡くなられた、新発田市出身の刀剣作家で人間国宝(重要無形文化財保持者)の天田昭次氏を思い出す人も多いのではないでしょうか。おりしも3年前頃から国内では若者を中心に刀剣ブームが起きており、昨年には「刀剣検定」も始まりました。天田昭次氏の作品は、新発田市の「刀剣伝承館」で見ることができますので、刀剣にご興味のある方は「刀剣伝承館」を訪れてはいかがでしょうか。