日本版DMOに関する調査レポートをまとめました

 

新潟経済社会リサーチセンターの小林です。

最近、地方創生を実現していくうえで、観光への期待が高まっており、各地の観光振興を牽引する組織として諸外国のDMOと呼ばれる観光振興組織が注目を集めています。この諸外国のDMOにならい、観光庁では日本版DMOの形成・確立を推進し始めました。

今回は、このDMOと日本版DMOの概要、県内外における日本版DMOの現状などについてご紹介いたします。

詳しくは「センター月報8月号 自主調査 日本版DMOの現状と設立・運営上のポイント」をご覧いただければと思いますが、本日はこのレポートのポイントをお伝えいたします。

 

 

DMOとは

DMOとは、Destination Management/Marketing Organizationの略であり、米国や欧州各国、豪州などの諸外国において、発達してきた観光振興のための組織のことです。具体的には、地域の観光振興を図るために、統一的な権限と責任が与えられ、観光地のマネジメント活動と、対外的なマーケティングやプロモーション活動を実践していく組織のことです。この組織はマーケティングやブランディングなどの専門性を有する人材で構成されることが多く、活動資金も行政からの補助金ではなく、観光振興目的の宿泊税などで調達している場合が多くなっています。

観光庁「国内外の観光地域づくり体制に関する調査業務」によると、諸外国のDMOの事例として、米国のナパバレーDMOやスイスのトッゲンブルグDMO、豪州のニューサウスウェールズ州DMOなどが紹介されています。

 

日本版DMO候補法人とは

諸外国におけるDMOにならい、観光庁では、2015年11月に「日本版DMO候補法人登録制度」を創設しました。これは、日本版DMOを地域に根付かせ、それを核とした観光による地方創生を目指したものです。そして、この日本版DMOをマーケティングまたはマネジメントするエリアの大きさに応じて、①複数の都道府県にまたがる広域連携DMO、②複数の地方公共団体にまたがる地域連携DMO、③単独市町村を対象エリアとする地域DMOの3つに分けています。

日本版DMOの登録状況をみると、日本版DMO候補法人の登録数は着実に増えています。16年2月の第1弾登録の24件から、随時登録が行われ、17年5月の第9弾登録で累計145件となっており、内訳をみると、広域連携DMOが6件、地域連携DMOが67件、地域DMOが72件となっています。

 

DMO候補法人の登録状況

 

また従来、地域の観光振興において中心的な役割を果たしてきた観光協会(観光連盟など)と、日本版DMOとの違いをまとめると下表のようになります。

 

DMOと観光協会の違い

 

県内外における日本版DMO候補法人のうごき

17年5月末現在、新潟県または県内市町村を対象エリアとする6つの法人・団体が日本版DMO候補法人として観光庁に登録されています。

 

新潟県内のDMO

 

聞き取り調査などをふまえ、県内の日本版DMO候補候補法人の課題を整理すると、①幅広い業種からの参画が少ない、②専門性のある人材の確保・育成が進んでいない、③財源の行政への依存が高い、の3つにまとめることができます。

他方、県外に目を向けると、県内の日本版DMOが抱えている課題解決のヒントとなるような活動を行っているDMOがいくつかあります。

1つが、行政、民間企業、金融機関など多様な主体により運営されている「せとうちDMO」(一般社団法人せとうち観光推進機構と株式会社瀬戸内ブランドコーポレーション)です。同DMOでは、瀬戸内ブランドの確立による稼ぐ力の向上などに取り組んでおられます。

もう1つが、DMOという言葉や概念が日本で広く知られる以前から観光地域づくりを推進する機能を持つ組織として活動してきた「一般社団法人信州いいやま観光局」です。同DMOは、飯山市内の道の駅や日帰り温泉施設などの交流観光施設の指定管理業務などを通じて、自主財源の確保に取り組んでおられます。

最後の1つが、ビッグデータの活用やインターネットを使ったマーケティングに注力し始めている「一般社団法人豊岡観光イノベーション」です。同DMOは、ビッグデータの専門家をアドバイザーとして招聘し、助言を得ることで、従来、勘や経験で進めてきた現状分析や集客活動などを客観的なデータ分析の結果に基づいて進めるようになっています。

 

まとめ

今のところ、全国各地で立ち上がっている日本版DMOの活動は、いずれも緒に就いたばかりです。しかし、県外の事例のように、手探りながらも諸外国のDMOの特長などを取り入れながら、自らの稼ぐ力と地域全体の稼ぐ力をつけようとしている所もみられており、そのなかの一部のDMOでは、少しずつではあるが成果を上げ始めている所もあります。新潟県内においても、この流れに乗り遅れることなく、DMOを核にした観光による地域活性化が各地で進むことが期待されます。