「産業用ロボットの現状と活用状況」に関する調査レポートをまとめました

 

新潟経済社会リサーチセンターの神田です。

産業用ロボットは、これまで自動車産業や半導体産業などの大企業を中心に導入が進んできましたが、近年は、生産年齢人口の減少に伴う人手不足への対応や生産性の向上、作業従事者の負担軽減などに向けた取り組みとして、企業の規模・業種を問わず産業用ロボットを導入・活用する動きが広がりつつあります。

 

 

そこで今回は、産業用ロボットの動向などについてご紹介したいと思います。なお、新潟県内での導入事例など詳しくは、センター月報3月号「産業用ロボットの現状と活用状況」をご覧ください。

 

産業用ロボットとは

産業用ロボットは、一般に「センサーなどを用いて得られた情報を処理し、自立性を持って動く、産業に使用される機械」とされます。24時間安定した稼働が可能となるほか、人のようにスピードに大きな差が生じません。さらに汎用性が高くさまざまな作業に対応させることが可能となります。なお、最近では人と産業用ロボットが共同で作業を行うことできる「協働ロボット」と呼ばれる産業用ロボットの普及が進んでいます。

 

産業用ロボットの種類

産業用ロボットには多くの種類があります。ロボット本体に組み込まれている軸(関節)の数やモーター、取り付けるアーム(人間の手のように、掴む・放す・運ぶなどの作業をする産業用ロボットの腕)により分類され、作業できる範囲もそれぞれ異なります。

 

専用機と産業用ロボットの違い

専用機は、特定の作業を行うために設計・製作された文字通り専用の機械であり、特定の用途に特化させることで作業スピードや精度において高い性能を追求することができます。
一方、産業用ロボットは、専用機とは違いパワーやスピードが劣る場合もありますが、産業用ロボットを起動させるためのプログラミング(主にロボットシステムの構築)を行うことにより、作業内容を自由に変更できるなど汎用性を持った機械といえます。

 

 

なお、現時点では、パワーや作業スピードが勝る専用機の方が産業用ロボットより普及が進んでいます。ただし、産業用ロボットは、その汎用性の高さからある程度の作業変更には柔軟に対応できるとともに、繰り返しや大量の作業も行うことができる。そのため、産業用ロボットのメリットを十分活かしつつ得意とする領域を正確に見定めることが可能となれば、導入後は大きな成果を期待できます。

 

産業用ロボットの出荷動向

一般社団法人日本ロボット工業会の「ロボット産業需給動向2018年版」において、産業用ロボットの国内出荷台数をみると、2009年はいわゆるリーマン・ショックの影響もあり大幅に減少しましたが、10年以降は増加に転じ、その後は緩やかな増加基調で推移しています。なお、17年の国内出荷台数は49,171台となっています。

 

 

主要産業別および用途別の出荷動向

続いて、17年における産業用ロボットの出荷台数(国内出荷分、総台数49,171台)の割合を主要産業別にみると、「電気機械」が38.0%と最も高くなっています。次いで「自動車」が29.8%となっており、両者を合わせるとおよそ7割(67.8%)にのぼっていることから、産業用ロボットの多くは電気機械や自動車業界で利用されている状況がうかがえます。このほか、上位では「機械」が7.9%、「金属製品」が5.2%などと続いています。

 

 

同様に出荷台数の割合を主要用途別にみると、主に半導体等の製造時に活用される「クリーンルーム」が22.2%と最も高くなっています。次いで「組立」(18.2%)、対象物を掴んで動かす作業等にあたる「ハンドリング」(16.5%)、「溶接」(16.3%)などと続いています。このほかにも、「樹脂成形」「機械加工」「電子部品電装」などのさまざまな用途で導入されています。

 

 

おわりに

作業の効率化や労働環境の改善などを解決する手段のひとつとして、県内においても産業用ロボットの導入が広がりをみせつつあります。

新潟県では県内企業の産業用ロボット導入に向けて、人材育成をはじめ、さまざま支援事業を実施しており、その内容は、(公財)にいがた産業創造機構や新潟県工業技術総合研究所のホームページにおいても掲載していることから、人手不足への対応や効率化が経営課題となっている県内企業においては、そうした支援策の活用と合わせ、産業用ロボット導入を検討してみる価値があるものと思われます。