インバウンド需要を取り込む上で留意すべきポイントとは?

 

こんにちは。新潟経済社会リサーチセンターの神田です。
近年、日本を訪れる外国人旅行者の数が増えています。

 

 

日本政府観光局(JNTO)によると、昨年、日本を訪れた外国人旅行者は前年比47%増の1,974万人となり過去最高を更新しました。訪日客数が増加した背景には、為替が円安傾向で推移したことに加え、格安航空会社(LCC)の就航便数増加やビザ発給要件の緩和など政策面での後押しがあったようです。

 

▲訪日外国人旅行者数の推移

▲訪日外国人旅行者数の推移

 

2020年の訪日外国人旅行者の目標数を15年比2倍の4,000万人に

昨年度末に政府が「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」において策定した観光ビジョンでは、東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年の外国人旅行者数を15年比2倍の4,000万人、買い物などの消費額を同2倍超の8兆円とする目標を立てました。さらに30年の外国人旅行者数を6,000万人、消費額を15兆円とする目標を示しています。

 

▲(資料)明日の日本を支える観光ビジョン(案)概要

▲(資料)明日の日本を支える観光ビジョン(案)概要

 

このように先行きも訪日外国人客数の増加と、それに伴うインバウンド消費の拡大が期待されています。そうしたなか地方の観光地が外国人旅行者を誘致してインバウンド需要を取り込むためには、どのような点に留意したらよいのでしょうか。

そこで、私どもが実施した「インバウンド(訪日外国人旅行)の現状と取組事例」の調査結果から、観光地における誘客活動と受入環境整備におけるポイントについてその一部をご紹介したいと思います。

 

インバウンド需要を取り込む上で留意すべきポイント

1.誘客活動におけるポイント

①連携を図る

一事業者や一地域だけでは地域の魅力の発信力は弱いものとなりがちです。そのため、誘客活動は連携して行うことが重要です。例えば、白馬・志賀高原・野沢温泉・妙高の4地域と、長野県、新潟県、JR東日本が連携して結成した「長野-新潟スノーリゾートアライアンス実行委員会」では、一地域という「点」ではなく、4つの点が連携した「面」で誘客事業を展開することで、観光客数の増加に繋げています。

②他地域との差別化を図る

外国人旅行者にその地域の魅力を感じてもらうためには、他地域との違いを感じてもらうことが重要です。山形県の飯豊地域では、東北の主要な観光地との差別化を意識して、田舎ならではの農家民宿体験という体験型観光プランを売り込むことにより、台湾からの東北周遊ツアー客を呼び込んでいます。

 

2.受入環境整備におけるポイント

①外国人旅行者の不便を解消する

外国人旅行者は、「言葉が通じない」「スマートフォンでインターネットが使えない」など、様々な不便を感じています。そこで、商店街の飲食店が外国人客向けに外国語表記のメニュー表やルールブックなどを作成したり、SIMカードのレンタルサービスを開始したりする地域があるなど、外国人旅行者がストレスなく観光できるよう地域一体で受入環境を整備することが大切です。

②回遊性を確保する

団体旅行客は、一般に旅行代理店等が手配したツアーバスを利用しますが、個人旅行客は公共交通機関をはじめ、自ら交通手段を手配する必要があるため、目的地までの交通環境が整備されているかが重要です。観光スポットまでの交通環境を整備して回遊性を確保することは、外国人旅行者にその地域の魅力を知ってもらうことに繋がります。

 

3.取り組みを改善しながら、継続する

誘客活動や受入環境整備の取り組みは、一度の取り組みでは外国人旅行者の増加や満足度向上に繋がるとは限りません。したがって、外国人旅行者のニーズや反応をみながら取り組みを改善しつつ、繰り返し取り組んでいくことが重要です。

今後、インバウンド需要の確実な取り込みに向けて、地域が一体となって誘客活動と受入環境の整備を進めていくことが期待されます。

 

※具体的な取り組み方法など本調査に関する詳しい内容については、当センターの機関誌「センター月報2016年4月号」をご覧下さい。