2016年 全国 鉱工業生産指数 業種別ランキング

 

新潟経済社会リサーチセンターの銀山です。本日は「経営のヒント」シリーズの第7回目をお伝えいたします。

さて、みなさんの企業の属している業種が好況なのか不況なのかを把握するときは、どうされていますか?企業の方にお話をうかがうと、他社の話や仕入先・販売先の話などを参考に把握されている方が多いようです。もちろん、こうした聞き取りから業種の動きを把握することは重要だと思います。一方で国や県が公表している客観的な統計データからも、業種の動きを知ることができることをご存知でしょうか?

いくつかある統計データのうち、製造業に限定すると国や県などが毎月公表している鉱工業生産指数がそれにあたります。鉱工業生産指数とは、国や県が鉱工業者に対し生産活動に関するアンケートをとって全業種や業種別の生産状況を指数化したものです。2010年の生産水準を100として、毎月、経済産業省が全国の数値を、新潟県統計課が新潟県の数値を公表しています。例えば、2010年よりも生産が5%上回っていれば105、5%下回っていたら95などと表現されます。
なお、経済産業省が鉱工業指数についてマンガでストーリー型式で説明していますので、よかったら参考にしてみてください。

指数をみて自社が属している業種全体の動きを知り、自社と比較することで何か気づけることがあるかもしれません。また、取引先が属している業種の動きをみることで取引先の理解を深めることもできるかもしれません。さらに、新規開拓先を好調な業種から探してみることもできるかもしれません。いずれにせよ、各業種の好不調を知っておくことは有益ではないでしょうか。

そこで、今回は2016年における全国の業種別生産指数のランキングをみていきたいと思います。

 

 

まずは生産指数が17~12位の業種からみていきたいと思います

※業種の右にある数字は2016年の年間の生産指数を表しています

17位 情報通信機械工業 55.3
(主な品目 : 民生用電子機械、電子計算機、通信機械等)

16位 鉱業 89.8
(主な品目 : 天然ガス、石灰石、原油等)

15位 石油・石炭製品工業 91.4
(主な品目 : ガソリン、軽油等)

14位 鉄鋼業 92.4
(主な品目 : 熱間圧延鋼材、鉄素製品、鋳鍛造品)

13位 金属製品工業 92.8
(主な品目 : 建設用金属製品、建築用金属製品、暖ちゅう房熱機器等)

12位 その他工業 93.0
(主な業種 : 印刷業、ゴム製品工業、家具工業等)

なお、上記の6業種の生産指数の推移をグラフ化すると、以下のとおりです。

 

 

全体的に、リーマン・ショックの影響で生産が低下してから、その後も回復できていない傾向がみられます。なかでも、「情報通信機械工業」が低調となっています。品目別の動きをみると、薄型テレビやデジタルカメラなどを含む「民生用電子機械」の落ち込みが特に激しいです。背景には海外メーカーとの競争で国内メーカーがシェアを大きく落としたことがが考えられます。

 

次に11~6位の業種を紹介いたします

11位 繊維工業 93.3
(主な品目 : 衣類、織物、化学繊維等)

10位 電子部品・デバイス工業 96.4
(主な品目 : 電子部品、集積回路等)

9位 食料品・たばこ工業 96.6
(主な品目 : 清涼飲料、酒類、乳製品、油脂・調味料等)

8位 パルプ・紙・紙加工品工業 98.3
(主な品目 : 紙、紙加工品、パルプ、板紙等)

6位 窯業・土石製品工業 98.5
(主な品目 : ファインセラミックス、セメント・同製品等)

6位 非鉄金属工業 98.5
(主な品目 : 伸銅・アルミニウム圧延製品、非鉄金属鋳物等)

なお、上記の6業種の生産指数の推移をグラフ化すると、以下のとおりです。

 

 

こちらも全体的に、リーマン・ショックの影響で生産が低下してから、その後も回復できていない傾向がみられます。そのなかで「電子部品・デバイス工業」は2008年の水準を2015年には上回っていたことがわかります。ただし、浮き沈みの激しい動きをしており、背景としては海外のスマートフォンメーカーの生産動向に大きく影響を受けたことが考えられます。足元では、長期的に電子部品は情報端末向けに加え、電装化が進みつつある自動車向けなどで増加基調にあるようなので、今後は増減を伴いつつも成長していくことが期待されます。

 

続いて5~1位の業種を紹介いたします

5位 プラスチック製品工業 98.6
(主な品目 : プラスチック製フィルム・シート、プラスチック製機械器具部品等)

2位 化学工業 100.1
(主な品目 : 化粧品、プラスチック、有機薬品等)

2位 輸送機械工業 100.1
(主な品目 : 乗用車、自動車部品、船舶・同機関等)

2位 電気機械工業 100.1
(主な品目 : 開閉制御装置・機器、民生用電気機械、回転電気機械等)

1位 はん用・生産用・業務用機械工業 112.5
(主な品目 : 半導体・フラットパネル製造、風水力機会・油圧機器、土木建設機械、ボイラ・原動機等)

なお、上記の5業種の生産指数の推移をグラフ化すると、以下のとおりです。

 

 

1位は「はん用・生産用・業務用機械工業」です。業種内の品目別の動きをみると、工場の自動化に向けた需要などを背景に「産業用ロボット」が非常に好調であるほか、「土木建設機械」も2010年と比べると高い水準にあります。上記のような品目が業種全体を押し上げています。

2位は「化学工業」「輸送機械工業」「電気機械工業」です。それぞれの品目別の動きをみると「化学工業」では「化粧品」が好調です。訪日客による爆買いの効果や、海外需要の伸びが背景にあるのではないでしょうか。

次に「輸送機械工業」をみると、主力の「乗用車」はおおむね横ばいで推移しています。そのほかでは、機体部品をふくむ「航空機」が非常に好調な一方、「船舶・同機関」は低調に推移しています。

最後に「電気機械工業」をみると、「太陽電池モジュール」を含む「その他の電気機械」が2013年をピークにやや減少傾向にはありますが、2010年と比べると依然として高い水準を維持しています。一方、「蛍光ランプ」「白熱灯器具」などを含む「配線・照明用器具」は低下傾向にあります。

 

おわりに

今回、このランキングを作成してみて、リーマン・ショックのあった2008年の水準を上回っている業種がいかに少ないかを改めて実感しました。生産活動においては依然としてリーマン・ショック後の不況の影響を払拭できていない業種が多いことがわかりました。

ただし、同じ業種のなかでも品目別の動きをみると、好不調の差が激しいことも認識することができました。業種全体では動きはあまり無いものの、品目別では変化が大きかったりしますので、興味のある方は品目の動きもみてみることをお勧めいたします。

 

品目ごとの数値は下記のアドレスの経済産業省ホームページからみることができます。また、月次の数値をみることもできます。http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/iip/result-1.html

なお、各都道府県別でも鉱工業生産指数を集計して公表しています。当センターのある新潟県でも公表しておりますので、新潟県の鉱工業生産指数のランキングに興味のある方は、次回、掲載予定の「2016年 新潟県鉱工業生産指数 業種別ランキング」の記事をご覧になってみてください。