新潟県、水素エネルギー普及に向けた取組を開始 県内初の水素ステーションが間もなくオープン!(その1)

 

新潟経済社会リサーチセンターの佐藤です。いよいよ新潟県において水素エネルギー活用を目指す活動が始まります。今回は水素エネルギーの特徴や可能性などをご紹介します。

 

水素 エコ・ドライブ 電気

 

水素の活用、温室効果ガスの排出量削減に向け期待がかかる

2018年7月、エネルギーを巡る国内外の情勢変化を踏まえ、2030年、更には2050年を見据えたわが国のエネルギー政策の方向性を示す第5次エネルギー基本計画が閣議決定されました。安全性を最優先し、資源自給率アップ、環境適合、国民負担抑制などを勘案しながら、安定的で負担が少なく、環境に適合したエネルギー需給構造の実現を目指すものです。最近の国際情勢においては、温室効果ガス排出量の抑制を目指すパリ協定に基づき、わが国も「自国が決定する貢献」を国連に提出しました。2030年の温室効果ガス排出量を2013年比▲26.0%とすることが国際公約となり、このため従来にも増して温室効果ガスの排出削減に取り組むことが必要となります。

温室効果ガスの削減について、太陽光や風力などの再生可能エネルギーとともに大きく期待されているのが水素の活用です。水素は燃焼しても二酸化炭素(以下「CO2」)を発生しない環境特性をもつほか、エネルギー源として気体や液体の形態で貯蔵、運搬することが可能です。このため、余剰電力により水素を製造して貯蔵しておき、必要な際にエネルギー源として使用したり、海外に豊富に存在する低品質石炭などの未利用資源から水素を製造してわが国へ運搬することなども考えられます。現在、中東に大きく依存しているエネルギー調達先の分散につながることから、エネルギー安全保障の観点からも期待されるところです。

 

環境に優しい! 水素で走る燃料電池自動車

わが国のCO2排出を分野別にみると4割が電源関係、2割弱が輸送関係であり、輸送関係においてはその大半を占めるのは自動車部門です。このため、乗用車とともに、バス、トラック、各種作業車なども含めた様々な車両の低炭素化を進めることが必要となります。低炭素化を実現するうえで環境に優しい車として代表的なものは電気自動車(以下「EV」注1)ですが、EVとともに次世代車として期待されるのが水素を活用する燃料電池自動車(以下「FCV」注2)です。

注1 電気自動車 EV:Electric Vehicle
注2 燃料電池自動車 FCV:Fuel Cell Vehicle

 

FCVとEVの仕組み

 

 

FCVは、燃料の水素と空気中の酸素を化学反応させ、それにより生じる電気によりモーターを動かす仕組みです。燃料の水素は酸素と反応して水になります。ガソリン車が排出するCO2や窒素酸化物は発生しないため、EVと並ぶクリーン・エネルギー車とされます。

 

 

FCVとEVの特徴

 

FCVとEVの特徴は上表のとおりです。航続距離や燃料の充電・充填時間はFCVが優位である反面、インフラ整備状況はEVが優位です。水素ステーション(以下「水素ST」)などFCVのインフラ設置コストは高価なうえ、現在の設置箇所は四大都市圏を中心に約100箇所に留まっています。水素STなどのインフラを充実させることは今後のFCV普及を図るうえで大きな課題です。再生エネルギー・水素等関係閣僚会議が17年12月にまとめた水素基本戦略によると、わが国におけるFCVと水素STの普及について、以下の目標が掲げられています。

 

水素 普及目標

FCVについては、乗用車タイプとともにFCバスなどの開発も進められており、首都圏では東京交通局が5台のFCバスの運行を行なっています。水素基本戦略では、2020年の東京オリンピックの頃には首都圏で100台程度のFCバスを運行し、日本を訪れる世界の人々に水素社会の可能性や日本の技術力をPRするとしてます。一方、水素STは四大都市圏を中心に既に100カ所程度が整備され、拠点数の拡大が図られているところです。水素基本戦略では、2020年を目処に、四大都市圏以外にも水素を活用する地域を100カ所程度まで広げ、さらにその後の全国展開につなげたいとしています。

 

新潟県も普及ビジョンを作成 水素活用の取り組みを開始

このような国の方針を受け、新潟県においても本年3月に「新潟県FCV・水素ステーション普及ビジョン」が策定され、水素活用に向けた取り組みが始まりました。新潟県の普及ビジョンは、CO2の排出量を削減して環境負荷低減を図ること、エネルギー供給源の多様化を図ることなど国の施策に沿った項目とともに、本県に水素STを建設して首都圏や東北地方を結ぶ水素ネットワークの要所となること、2050年には8兆円規模に成長すると予想される水素・燃料電池関連の機器やインフラ市場において、県内産業の育成を図ることなどを掲げています。

新潟県が普及ビジョン策定の際に行なった調査では、全国と本県の新車登録台数や、県民に実施したFCV購入意欲に関するアンケートなどを基に、本県におけるFCV普及台数を下表のように推計しました。あわせて新潟市に水素STを1カ所整備する場合の、当市におけるFCV台数の推計も示されています。
水素ST 1カ所の採算性確保にはFCV 900台が必要とされていることから、新潟市においては2030年にはステーションの採算が確保できる見込みとしています。

 

水素 普及見通し

 

新潟県において水素エネルギーの活用、FCV普及がどのように進められるのか、次回はその具体策を紹介します。

 

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「センター月報」 2018年9月号「潮流 県内最新トピック  第19回」を加除修正しました。