注目の経済指標『新設住宅着工戸数』

 

新潟経済社会リサーチセンターの久住です。

当センターでは、毎月『センター月報』という機関誌を発刊していますが、その中で新潟県内の主要経済指標を掲載しています。

本日はその中から前年比で増加している「新設住宅着工戸数」について、その要因として考えられることなどを紹介いたします。

 

 

新設住宅着工戸数とは

新設住宅着工戸数は、床面積が10㎡を超える住宅の新築や増改築の戸数で、国土交通省が毎月発表しています。工事の着工時点での戸数を把握できるため、景気動向を予測するための先行指標として利用できます。住宅の新築や増改築は、建材や家具、家電、運送業などに影響を与え、経済波及効果が大きいことも特徴です。

ただ、住宅には一戸建てやアパート、社宅というように様々な種類があり、一戸あたりの面積や投資額の大きさが違いますが、新設住宅着工戸数では、それらが等しく1戸と数えられるため、指標を見るときはその種類ごとに分類した「利用関係別」にみることも大切です。利用関係は、注文住宅などの『持家』、アパートなどの『貸家』、マンションや建売り住宅などの『分譲』、社宅などの『給与』の4つに分けられます。

 

 

上のグラフは新潟県内の新設住宅着工戸数の推移です。平成25年と28年のグラフが高くなっているので、H25年とH28年の住宅着工戸数が多くなっていることを表しています。戸数の内訳を利用関係別にみると、25年は青色で表示してある「持家」が大きく増加しており、28年は赤色で表示してある「貸家」が大きく増加しているのが分かります。

 

市町村別の新設住宅着工戸数の推移

新設住宅着工戸数は市区町村単位でも発表されます。下の3つの表は市町村別に過去4年間の新設住宅着工戸数の推移を表しています。表1は4種類ある利用関係の「合計」です。表2と表3は利用関係のうち「持家」と「貸家」の着工戸数の推移をそれぞれ表しています。

表1の利用関係の合計から見てみますと、着工戸数の水準は新潟市や長岡市などの拠点都市が多くなっており、新潟市の中でも中央区の割合が高いことがわかります。

 

 

次に年ごとの推移を色分けでみてみます。前年と比べて減少した年は青色、横ばいは白色、増加は黄色、大幅に増加した年はオレンジ色で表示しています。上のグラフでみたとおり、表1では、25年と28年に黄色やオレンジ色の市区町村が多く、着工戸数が増加しているのがわかります。

さらに上のグラフで25年が「持家」、28年が「貸家」に特徴的な増加がみられるので、この2つの利用関係をそれぞれみてみます。

表2の「持家」の推移をみると、25年が黄色かオレンジ、26年が青、27年と28年は白の市町村が多く傾向がきれいに分かれます。25年が増加、翌26年はその反動で減少、27年からは横ばいで推移している傾向がよく分かります。25年の増加の要因は、26年4月の消費税増税前に住宅を新築した人が多かったことによるものと考えられます。

 

 

表3の「貸家」の推移では、28年にオレンジ色の市区町村が13あり、大幅に増加したところが多くあります。またオレンジ色と黄色の分布が表の真ん中と下のその他の市町村に多く現れています。これは27年から相続税の基礎控除額が大幅に引き下げられたことに伴い、相続対策としてアパートを建設する資産家が多かったことが考えられます。

 

 

まとめ

新設住宅着工戸数は、その年々の世相を反映して様々な社会の動きを反映します。これは家は生活の基盤であり、それを建てたり買ったりすることは、人生に深く関わることだからだと感じます。

今後も当センターでは『センター月報』やホームページに経済指標を毎月掲載していきますので、お時間があればじっくりとご覧になっていただければありがたいと存じます。