消費者の期待を集める機能性農産物

アグロイノベーション2015

農業分野への関心の高さがうかがえたアグロイノベーション

こんにちは、新潟経済社会リサーチセンターの高田です。

10月の「国際次世代農業EXPO」に続き、11月は東京ビックサイトで開催された「アグロイノベーション2015」(11月18日~20日)を見学しました。TPPで大筋合意したこともあり、農業分野に対する関心の高まりを反映し、3日間合計の来場者数は前年実績より5割以上も増加したそうです。

私の今回の見学目的は、主に機能性農産物に関する情報収集でした。施設園芸分野で著名な千葉大学の後藤教授による「施設園芸・植物工場における機能性農産物の新展開」と題したセミナーも聴講しました。セミナーの内容は、生育環境の制御によって農産物の機能性成分を増加させる方法の紹介で、大変参考になりました。

 

消費者は加工品より青果での機能成分の摂取を好む

そもそも、私がなぜ機能性農産物に着目しているのかというと、以前にこのブログで紹介したように、4月から始まった「機能性表示食品」制度において、これまでの特定保健用食品等の対象となっていなかった生鮮食品が機能性表示の対象に加わったからです。

また、健康志向の高い人を対象とした下記のアンケート結果をみると、機能性成分を「青果でも加工品でも摂取したい」(50.2%)という回答割合が最も高いものの、「青果で摂取したい」(36.6%)の割合は「加工品で摂取したい」(7.8%)の割合を大きく上回りました。加工品よりは青果から機能性成分を摂取したいと考える消費者が多いとみられるため、機能性農産物に対する一定のニーズが見込めると考えられます。

 

機能性分高含有農作物・加工食品の摂取意向と理由

▲クリックすると、鮮明に見えます。

 

身近になりつつある機能性農産物

カゴメの高リコピントマトが県内の多くのスーパーで売られているなど、機能性農産物は既に私たちの生活にとって身近なものになりつつあります。また、種苗メーカーのタキイ種苗では、機能性農産物の種を「ファイトリッチ」シリーズとして販売しており、同シリーズから作った野菜は岡山県の岡山淳風会タニタ食堂で食材として採用されました。

さらに、バナナの生産で有名なドールには、「ウルトラベジ」という機能性農産物のブランドがあります。ブランドの第一弾としてスルフォラファンを多く含んだ機能性ブロッコリーを発売しました。そして、その第2弾に「ファイトリッチ」シリーズの高リコピントマトと高カロテントマトが採用されました。

なお、リコピン、スルフォラファン、カロテン等の機能性成分の詳細については、農林水産省のHPに掲載された「農産物の有する機能性やその関与成分に関する知見の収集・評価」結果報告(公益財団法人日本健康・栄養食品協会による研究結果報告)や国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構による農作物機能性成分情報ポータル」、同機構の食品機能性研究センターHP等が参考になります。

 

機能性農産物の生産には課題も

今後ますます増えると見込まれる機能性農産物ですが、課題もあります。特に露地栽培の場合は、季節や天候等の要因で、農産物に含まれる機能性成分の量が安定しない可能性が指摘されています。農産物に機能性を表示するためには、常に安定した量の機能性成分を含むように農産物を育てることが必要となります。

また、機能性成分は、農産物の成長に直接関与しない二次代謝産物と呼ばれるものが多く、通常は農産物にストレスをかけることで増加します。ストレスをかけると農産物の収量が減少するため、農産物自体の成長と機能性成分の増加をうまくコントロールする必要があります。

そのため、環境制御による安定生産の方法として、施設栽培や植物工場の活用が1つの選択肢となっています。一方で、施設栽培や植物工場にはイニシャルコストが高いという問題があるため、どう折り合いを付けるかが今後の課題となりそうです。