2019年4月 改正出入国管理法、外国人一般労働者の受入が始まる


新潟経済社会リサーチセンターの佐藤です。本日は、外国人一般労働者の受入状況についてご紹介いたします。

勤労者 労働者 働く

人手不足が深刻さを増しています。女性やシニアの活用、機械化などによる生産性向上の取り組みが進められるなか、最近では外国人の受け入れに踏み切る企業 も増えています。全国と同様、新潟県においても外国人の就労者数は年々増加しており、新潟労働局が公表し た資料によると新潟県内の外国人の就労状況は図表1のように推移しています。

近年、受け入れ者数が急速に伸びているのは外国人技能実習生(以下「実習生」)です。新興国の人材を日本で一定期間受け入れ、実習を通して技能を移転することを目指す制度であり、労働者の受け入れを目的とする制度ではなく日本による国際貢献の位置付けです。技能実習の対象業務には農業、漁業、建設業、製造業 などの業種において77職種139作業が認められています。

新潟県における外国人の就労状況

新潟県における在留資格別の外国人労働者数

1.技能実習制度の適切な運営に向けた変更

受け入れ人数が増加している技能実習制度の適正な運営と実習生の保護を図るため、17年11月に技能実習法(注)が改正されました。制度全般の管理を行う組織とし て外国人技能実習機構(以下「機構」)が設けられ、 実習生の取り次ぎなどを担う監理団体、実習生を受け入れる企業とともに、それぞれの役割や取り組むべき 事項が明確化されました。

機構、監理団体、受け入れ企業が連携して制度の運営にあたるなか、監理団体は実習生の取り次ぎや受け入れ企業の監理・指導など幅広い業務を担当します。
監理団体は商工会、商工会議所、中小企業団体など、 営利を目的としない法人でなければなりません。監理事業を適正に行う体制や財産的基盤、個人情報などを適切に管理する措置などを整え、機構から監理団体とし ての許可を得ることが必要です。基準を満たす外国の送 出機関と契約を交わし、実習生の取り次ぎにあたります。わが国と相手国の窓口を明確にし、実習生取り次ぎの 適正なルートを確立することで、手続きに関して不当 な手数料を求める業者などを排除する仕組みです。

(注)正式名称: 外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律

実習生を受け入れようとする企業は、監理団体とともに実習生の技能実習計画を作成し、機構に計画認定 の申請を行います。技能実習計画では、日本人と同等以上の賃金、適切な宿泊施設の確保、入国後の講習に専念するための措置などの明示が求められています。機構により実習計画が認定されると、監理団体が法務省(地 方入管局)に実習生の在留資格を申請する流れです。監理団体は企業が実習生を受け入れた後も、受け入れ企業を定期的に巡回して研修の取り組み状況を点検したり実習生と面談して相談を受けるなどの業務を行います。 実習生を受け入れる企業が増えているので巡回や面接 にはかなり時間を要するようです。

このように相手国の送出機関との連絡に始まり、 技能実習計画の策定、実習生の在留資格の申請、さらに受け入れ後のフォローなど、監理団体が提供する様々なサポートにより中小企業においても実習生受け入れをスムーズに進めることができます。

一方、適切な研修を実施したり実習生に適切な保護を与える点については受け入れ企業に負うところが大きいです。実習生が充実した研修を受けられるよう、受け入れ企業は技能実習責任者、同指導員のほか、生活指導員を選任して生活面の相談も行うこととされました。

県内のいくつかの監理団体に実習生の取り次ぎ状況 などをうかがいました。特徴的な点は以下のとおりです。

・全般的に企業の受け入れ意欲は旺盛で、実習生受け入れの動きは製造業から
 建設業に広がっている。


・企業から実習生受け入れの要望が出されると海外の送出機関と連絡して準備
 を進める。実習生取り次ぎの実績もあることから、監理団体と海外の送出機
 関との連絡はスムーズに進む。海外の送出機関から実習生受け入れの打診が
 くることもある。


・現在、新潟県における実習生の国別受入数は中国が最多だが、最近は中国の
 伸びが鈍化してベトナムなどからの実習生が増えている。経済成長により中
 国の賃金水準が上昇し、中国の若者が実習生として海外へ渡るメリットが薄
 れていることもあるようだ。


・それぞれの監理団体が持つ特色により、インドネシ ア、ミャンマーなど特定
 国からの受け入れが多い団 体もある。


・実習生の賃金は「日本人と同等以上」とされている。 屋外での労働が多いこと
 もあり、製造業に比べて建 設業の賃金が高めに設定されているようだ。 住居
 については受け入れ企業がアパートを借りるこ とが一般的だ。企業が遊休地
 にアパートを建てる例 もある。1人当たりの広さの目処があり、部屋の広 さ
 に応じて2~3人に同居してもらっている。



2.出入国管理法改正による外国人一般労働者の受け入れ開始

外国人人材の受け入れに関する企業の積極的な意向 を反映し、18年12月に出入管理法が改正されました。女 性やシニアの活用、さらに機械化などで生産性向上への取り組みを行ってもなお人手不足の解消が難しい産業分野においては、一定の専門性・技能を有し即戦力 となる外国人材を幅広く受け入れることが示されました。一般労働者の受け入れは行わないとしてきたわが国の従来の方針を大きく変換するものです。

まず新たな在留資格として就労を目的とする特定技能1号、同2号の資格が新設されました。日本での就労を希望する外国人は一般的にまず特定技能1号を申 請します。求められる条件などは概ね図表3のとおりです。

受け入れ対象業種は今後法務省令で明示されますが、現在のところ図表4の14業種が想定されています。

新たな在留資格の資格条件

外国人材の14業種

外国人材の円滑な受け入れや保護のため、受け入れ企業は外国人と適切な雇用契約を締結するとともに、 支援計画を作成して職業生活、日常生活、社会生活における支援を行うこととされました。雇用契約は、報酬額を日本人と同等以上とするほか、労働関係、社会保険関係の法令を遵守することが求められます。また、行うべき支援の内容は、生活ガイダンス、住宅の確保、日本語の習得支援、行政手続きの情報提供、さらに相談・苦情への対応と幅広いものとなっており、就労を希望する外国人が円滑な日常生活・社会生活を過ごせ るよう配慮されています。

外国人への支援について、受け入れ企業は登録支援機関に委託できるとされています。登録支援機関とは、 適正な支援を行う能力、体制を有する組織とされ、出入国在留管理庁への登録が必要です。外国人の対応などに慣れた登録支援機関が、複数の企業が受け入れる大勢の外国人の支援を積極的に担うことで、スムーズで 公正な運営が行われるものと期待できます。

2月末現在、法務省令が開示されていないので細部 は不明ですが、以下のような制度運営が予想されます。

特定技能1号の在留資格を取得するには、業務を所管する省庁が定める技能ならびに日本語の試験に合格する必要がありますが、3年間の技能実習修了者はこれらの試験を免除されます。このため、3年間の技能実習修了後に今般新設の特定技能1号の在留資格を取得し、 新たに5年間の就労を行うケースが多くなると思われます。これまで、せっかく技能を修得した実習生が3年 で帰国してしまうのは惜しいという声もありました。今後は技能実習と併せて通算8年間在籍してもらえることになります。受け入れ企業にとっても大きなメリットです。

登録支援機関については、技能実習制度における監理団体が兼務するものと思われます。従来の監理業務と新たな支援業務では内容は異なりますが、実習生の取り次 ぎや受け入れ企業の監理などの業務により外国人材の対応に慣れていることから、監理団体の多くが登録支 援機関の業務を問題なく担当できるものと思われます。 現在許可を受けている監理団体は外国人技能実習機 構のホームページに公表されており、新潟県所在の監理団体は事業協同組合や商工会など約20機関です。外国 人材受け入れに興味がある企業は連絡を取ってみては どうでしょうか。

今後、外国人材の受け入れが進むと、受け入れ企業ばかりではなく、行政をはじめ地域の自治体や町内会など社会全体での対応が求められます。外国人が居住する地域においては、医療機関の多言語対応ほか、公共交通機関の利用や日常の買い物、さらにゴミ出しなど、生活全般にわたる説明や相談に丁寧に応じる必要が生じます。さらに将来は、家族帯同が可能な特定技能2号者も誕生します。地域の小中学校においても、 日本の慣習や言葉に不慣れな子弟をどのように受け入れるかなどの検討や準備が必要です。 行政を中心に社会・生活面の支援体制も整え、今 後も増加が予想される外国人材の受け入れに備えたいものです。

=====

「センター月報」2019年4月号の「潮流 県内最新トピックス第22回」の記事を加除修正しました。