小さな依頼と大きな依頼

 

新潟経済社会リサーチセンターの江口知章です。

私どもの機関誌「センター月報」では、毎月、ビシネス心理学講師 酒井とし夫氏より、商売に役立つ心理学的なヒントやアイデアなどをご紹介いただいております。

今月の「センター月報12月号」では、「フット・イン・ザ・ドア」と呼ばれる販売方法について、ご説明いただきました。本日はその原稿の一部をご紹介いたします。

 

 

フット・イン・ザ・ドア セールステクニック

 

フット・イン・ザ・ドアとは?

 

人間心理をセールステクニックに応用したものが「フット・イン・ザ・ドア」と呼ばれる販売方法になります。「フット・イン・ザ・ドア」は段階的要請法と呼ばれ、「初めから大きな依頼をするよりも、まず小さな承諾を得て、その後に大きな依頼をした方が、人間はその依頼を承諾しやすい」という考え方です。

最終的な目的は「大きな依頼」を相手に受け入れてもらうことなのですが、最初からいきなり「大きな依頼」をするのではなく、まず「小さな依頼」をする。

そして、次に「中くらいの依頼」を行ない、最終的には「大きな依頼」の順で依頼を行なうと、一旦行動を起こした相手は最後の大きな依頼の承諾もしやすくなるということです。

(中略)

たとえば、男女間の関係においても、いきなり「結婚してください」という大きな依頼をする人はいません。普通は「一度、お食事にでも行きましょう」という小さな依頼や小さなお願いからスタートして、デートを重ねて結婚にいたりますが、これも心理学的には「フット・イン・ザ・ドア」の考えと同じです。

もしかしたら、あなたも買い物に出かけて、最初にひとつめの商品を買うまではあれこれと店内で悩んだけれど、ひとつの商品を買ったら、その後に次々と買い物をしてしまった…という経験があるかもしれません。これも一旦行動を起こすと止まれないという人間心理なのです。

(中略)

こういった人間心理をビジネスに応用した事例としては、最初に見込み客に無料体験やモニター参加、あるいは少額商品の購入をすすめるというものがあります。これは「小さな依頼」になります。その後、中価格帯の商品をすすめ、最終的には大きな依頼を行なうというパターンです。

塾や習い事教室であれば

 

無料体験→1ケ月のお試し入校→正式会員として入校・入塾

 

という流れです。

美容系のお店であれば

 

1,000円脚脱毛→腕の脱毛→全身永久脱毛コースや痩身美容コース申込み

 

という流れで「小さな依頼」、そして「中くらいの依頼」、最終的には「大きな依頼」の順となります。

(中略)

このような人間心理を考えるとビジネスの場でもまず相手に

「少しお時間がありますか?」

「ここにお名前だけ記入して頂ければ結構です」

「ハガキを送らせてもらっても良いですか」

「体験会にいらっしゃいませんか」

と声を掛けて承諾を得たり、少額な商品やサービスから提案を行なって小さな承諾を得ることがとても大切になるということが分かるはずです。

このような小さな承諾が後々の大きな依頼の承諾につながるのです。

これはコミュニケーションでも同じです。

お隣の方に小さな依頼を行なってみてください。たとえば「これ持ってもらえる?」といったことでも結構です。それを受け入れてくれたら少し時間を置いて、少し大きめの依頼を行なってみましょう。あなたの依頼を受け入れてくれる可能性が大です。

人の心理は面白いですね。

ビジネスでは人の心の理解が不可欠です。

 

酒井とし夫(2017)「街でみつけた商売繁盛心理学 今すぐできる選りすぐりのアイデア 第21回」『センター月報』2017年12月号

 

 

感想

 

物事には順序があるように、ビジネスの現場でも順序が大切なようです。欲張って、あるいは急ぎすぎで、とかく「大きな依頼」から始めてしまいがちです。時には「小さな依頼」から初めてみるのも良さそうです。