統計データで確認!漁業生産量の推移

 

新潟経済社会リサーチセンターの江口知章です。

自分の狭い世界の中で生きていると、勝手な思い込みをしてしまう時があります。先日もある書籍を読んでいた時に「はっ」とした経験をしました。やはりデータで確認したり、様々な意見に触れることの大切さを痛感しましたので、今回はその際に読んでいた書籍などをご紹介したいと思います。

 

パワーポイントの資料 データ

 

勝川俊雄氏著『魚が食べられなくなる日 』の感想

先日、勝川 俊雄『魚が食べられなくなる日 (小学館新書)』を読んでいたところ、以下のような箇所がありました。

 

日本人はもともと昔から多くの魚を食べていたイメージがありますが、実はそうではありません。

(中略)

冷蔵庫がない時代には、漁村以外ではそう頻繁に魚を食べられなかったはずで、日本人全体が日常的に魚を食べるようになったのは、昭和の高度成長期にテレビ、洗濯機と並ぶ三種の神器として冷蔵庫が普及してからです。

(中略)

明治時代の日本人が今よりも魚を食べていなかったのは間違いありません。

もちろん、魚文化は当時から存在し、漁村では毎日のように新鮮な魚介類を食べていたはずですが、今日のように全国的な広がりを持ったものではなかったのです。

 

勝川 俊雄(2016)『魚が食べられなくなる日』小学館

 

確かに深く考えれば気づく話なのですが、「昔から多くの魚を食べていた」と勝手に思い込んでいました。このような先入観は案外、多いと思うので日頃から気を付けたいものです。

なお、こうした魚介類の摂取量は全国的な広がりをもったものの、近年は減少に転じており、2006年以降、肉類の摂取量を下回っているそうです。厚生労働省『国民健康・栄養調査』で確認すると、魚介類の摂取量が減少傾向をたどる一方、肉類は増加傾向で推移しています。

 

肉食と魚介類の摂取量

 

上記のようないわゆる「魚離れ」の理由については、水産庁『平成18年度 水産白書』をみると、

 

理由は、子どもが嫌い、割高、調理が面倒

 

水産庁『平成18年度 水産白書

と記載されています。つまり、①子どもが魚を好まない上、②魚介類は肉より割高感があり、③調理が面倒だからという理由です。

一方、先程ご紹介した勝川氏は消費量が減少した背景について、以下のような理由を語られています。

 

世界の魚価が上昇し、購買力の低下した日本が魚を海外から買えなくなったからです。海外から買うことができなくとも、日本近海でたくさんの魚が獲れればいいのですが、それがだんだん獲れなくなっているのです。

 

勝川 俊雄(2016)『魚が食べられなくなる日』小学館

 

実際、どれだけ獲れなくなってるのかを水産庁『平成29年度 水産白書』をもとに調べると、「マイワシの漁獲量の減少」により漁業・養殖業生産量は1984年をピークに大幅に減少しています。近年は減少幅はやや緩やかなものにとどまっていますが、それでも依然として減少を続けています。一方、輸入量も2002年をピークに減少傾向をたどっています。

 

漁業・養殖業の生産量の推移

 

漁業の輸入量

 

参考までに、新潟県『新潟県の農林水産業(資料編:水産業)』により新潟県の漁獲量を確認すると、近年はほぼ横ばいで推移しています。

 

新潟県の漁業生産量の推移

 

また、 新潟県「にいがたの農林水産業」(平成30年度版)によると、2015年の生産量からみた主な魚類として、ブリ類が全国で 14位、エビ類が12位、ヒラメ・カレイ類が9位、カニ類が5位と紹介されています。こうした順位をみても、日頃からのイメージと魚の種類が一致しておらず、勝手な思い込みは慎みたいと感じた次第です。

 

まとめ

今回は、勝手な思い込みで判断せずに、データや様々な意見に触れることの大切さを実感する良い機会となりました。

なお、ご紹介した上記の書籍には、様々なデータが紹介されているほか、データの背景に関する解説、他国の漁業と日本の比較、国内外の先進的な取り組み、日本における漁業の今後の方向性などについて、詳しく説明されいます。興味のある方はぜひ、手にとってみて下さい。