初対面の人と話をする際には?

 

新潟経済社会リサーチセンターの江口知章です。

私どもの機関誌「センター月報」では、毎月、ビシネス心理学講師 酒井とし夫氏より、商売に役立つ心理学的なヒントやアイデアなどをご紹介いただいております。

今月の「センター月報7月号」では、初対面や電話など、コミュニケーションがとりにくい場合にスムーズに会話が進むヒントについて、ご説明いただきました。本日はその原稿の一部をご紹介いたします。

 

初対面や電話で話す際には気を付けたい点

 

お客様と感情を合わせるには?

 

波長が合えば馬が合う先輩から電話がありました。

「(大きな声で)どうも!ご無沙汰しています。先輩、お元気ですかー?」とハイテンションで電話に出る私。

しばらくして、講演会主催者の方から電話がありました。

「(小さな声で)はい、こんにちは。酒井です」とややトーンを落として電話に出る私。

夕方になって親交のある社長から電話がありました。

「どうも、どうも。こんばんは…(ボソボソ…)」と小声で電話に出る私。

私は電話を受けると相手の声の大きさやスピード、ペースに合わせて同じようなトーンで応対します。もちろん徐々にいつもの自分の話し方に戻しますが、最初の数分は必ず相手に合わせます。相手がハイテンションなら自分もハイテンションで相手の高揚した状態に合わせます。相手が低い声ならこちらもやや低い声で対応します。相手がくだけた話し方であればこちらもくだけた口調で会話をします。

これを心理学ではペーシングといいます。日本語でいうと相手と波長を合わせる、相手と息を合わせるということになります。このペーシングよってお互いに好意や信頼関係が生まれ、話しやすくなります。

もし、あなたが比較的声の大きな方であれば、相手が小さな声でモゴモゴとしゃべっていたら「なんだこの人は。元気の無い人だな」と思うはずです。

反対にあなたが比較的冷静沈着な方であれば、相手が大きな声で早口でしゃべっていたら「なんだこの人は。落ち着きの無い人だな」と思うはずです。

お客様も同様です。小声で話すお客様に向かって、いきなりあなたが元気よく大きな声で話すとお客様は威圧感を感じます。最初はお客様のペースに同調し、徐々にいつものあなたの元気さを出すようにすると相手もつられて元気になります。一方、元気のよいお客様に冷静に対応するとお客様はあなたに熱意の無さを感じますので、最初から元気よく対応します。

人は自分と同じ声の大きさやスピード、ペースを持つ人に安心感を抱きます。相手と波長を合わせる、息を合わせると…お互いに“馬が合う”ようになるのです。

(中略)

以前、電話でのクレーム処理のプロといわれる方から話を聞いたことがあるのですが、やはり同じことをおっしゃっていました。電話の向こうでお客様が興奮して怒っているときには、こちらも興奮気味になり「(興奮して)それは、本当に本当にすみませんでした!申し訳ございません」

とまずは数分間相手のペースに合わせた対応をします。そして、話を聞きながら徐々にトーンを抑えていき

「(落ち着いた口調で)それでは早急に商品の不具合について対応をさせていただきたいと思いますので、詳しくお話をお伺いさせてください。まずお客様のご住所からお聞かせいただけますでしょうか」

と冷静な話に誘導するというのです。

電話の向こうでお客様が興奮しているときに、冷静に話をしようと考えて

「お客様、落ち着いて話をしていただけますか」

などとこちらがトーンを落として応対すると、お客様は軽く扱われたとか、こちらのいい分を聞いていない、気持ちを理解してくれていないというように受け取ってしまい逆効果なのだそうです。

私の講演の師匠も同じようなことをいっていました。

「最初に会場の後ろに立ち、参加者を観察してその会場の雰囲気を感じるようにする。その雰囲気に合わせてオープニングトークのトーンを変える。すると講演会場に一体感が生まれる」

営業も販売も交渉もクレーム処理も講演も同じです。短時間でお客様や初対面の相手と心理的な架け橋を築こうと思うなら、まずは最初に相手のトーンに合わせ、感情を共有すると上手くいきます。これは難しいことではありません。

相手が早口ならこちらも早口で答える、相手が手振り身振りを交えて話し始めたら、こちらも手を広げて驚いてみせる。

相手がボソボソっと話し始めたら、こちらも声をひそめる。

相手が嬉しそうにしていたら、こちらも笑顔で楽しげに会話をする、ということです。

まず、相手に合わせてお互いに波長が合う状態を作ってから、その後、徐々に自分のペースに戻します。

そうすると、こちらのいい分が通りやすいのです。ラジオでも無線でもまずは波長を合わせてから、情報をキャッチするのと同じです。

 

酒井とし夫(2017)「街でみつけた商売繁盛心理学 今すぐできる選りすぐりのアイデア 第16回」『センター月報』2017年7月号

 

感想

仕事でもプライベートでも、人は自分の言いたいことや自分のペースをもとに話してしまいがちです。

酒井先生のおっしゃる通り、まずは相手に合わせる余裕をもちたいものだと感じました。