音楽業界にみるマーケティング

 

新潟経済社会リサーチセンターの江口です。

野外音楽イベント「フジロック・フェスティバル’16」が湯沢町の苗場スキー場で7月22日(金)から24日(日)まで開催されました。今年も多くの入場者で賑わったようです。

こうした中、私どもの機関誌「センター月報8月号」では、音楽フェスティバルをはじめ、現在、音楽業界で取り組まれているマーケティング活動を参考にしながら、観光産業へ応用する方法をご紹介しています。執筆は毎月、連載をお願いしている井門観光研究所の井門隆夫先生です。

 

井門隆夫氏 地域観光事業のススメ方

 

「スマホ等でのデバイス上のバーチャル体験」を「実際の旅というリアルの場」へ

井門先生は音楽が聴くだけのバーチャルから体感するリアルへとシフトしているとして、観光産業への影響と今後について、以下のように示唆されています。

 

 

「若者は音楽を買わなくなったと言うが、若者はいつもイヤホンして音楽を聴いているではないか」と思われる方もいらっしゃるだろう。確かに若者は音楽をよく聴いているのだが、その入手方法が変わった。

(中略)

ほとんどの若者が聴いているのは、YouTubeのミュージックビデオ、LINE MUSICをはじめとしたオンラインストレージサービスの音源。いずれもネット上で配信される音楽をスマホで聴いている。

(中略)

さらに、音楽は「聴くだけのもの」ではなくなっている。AKB48にしても、握手会などで実際に会えるアイドルとして人気を保ってきた。

そして、驚くべきデータがある。それは、ライブやフェスといった音楽イベントへの参加率の急増だ。何と10年前に比べて2.5倍に増え、延べ入場者数は5,000万人近くにも達している。

その多くがネット上での配信を中心として活躍するネット・ミュージシャンたちだ。

夏はフェスが多く催される季節。苗場に定着したFUJI ROCK FESTIVAL、国営ひたち海浜公園では国内最大級のフェスROCK IN JAPAN、東京・大阪ではSUMMER SONICと続く。

東京・お台場では旅好きが集まった「旅フェス」が8月11日に開催され、旅のトークショーや海外の屋台が並ぶ。HIP-HOP系を中心としたROCKミュージックもあり、AKB48の「翼はいらない」のようなフォーク系もありと多様な音楽を楽しめる。お台場といえば東京ビッグサイトのビジネス展示会にしか行ったことのないようであれば、ぜひ一度フェスに参加してみることもお勧めしたい。

しかし、音楽が「聴くだけのバーチャルから体感するリアル」へとシフトしていることはマーケティング上、とても参考になり、かつ勇気の出る傾向だ。

今、観光産業にとって「スマホ等でのデバイス上のバーチャル体験」をいかに「実際の旅というリアルの場」につなげるかが課題となっている。AKB48の総選挙や、ライブ、フェスがよい例だ。アニメの舞台を訪れるという旅も定着し始めている。

音楽だけではなく、YouTube上の動画やCMにもあてはまるし、あるいは、VR(バーチャルリアリティ)でのバーチャル体験も今後重要なネタとなってくる。

祭の迫力、日本人の繊細さ、美しい四季を手に取るように体験できるVRは、訪日プロモーションのメインツールになっていくだろう。

 

井門隆夫(2016)「地域観光事業のススメ方第77回」『センター月報』2016年8月号

 

感想

VRでのバーチャル体験をはじめとして、お客様への情報発信ツールは今後、多様化するとともに、その重要性が増していきそうです。

こうした時代だからこそ、自分たちの地域の強み・コンセプト、情話発信する際の軸足をしっかりと定めておかないと、ツールを使うのではなく、使われてしまうことになるので、気をつけたいものです。