DMOに絶対不可欠な視点とは?

 

こんにちは。先日、日本版DMOに関する講義と研究検討会の内容についてご紹介した、新潟経済社会リサーチセンターの江口です。

今日は、私どもの機関誌に連載をお願いしている、井門観光研究所 井門隆夫先生のDMOに対する考え方をご紹介します。

私どもの機関誌「センター月報11月号」の中で、井門先生はDMC(Destination Management Company)をまちの収益事業を推進する「まちづくり会社」と説明した上で、各地の温泉地で進められている事例を紹介しています。

さらに、DMCと、マーケティングや観光全般の振興を担うDMOが一体となって、商圏の拡大を目指していこう!と提案されています。

 

井門隆夫氏の地域観光業のススメ方・68

 

商圏拡大の発想が前提

その一方で、注意すべき点として、以下のようなお考えを示しています。

 

DMCで商品を販売したり、収益事業を行おうとすれば、商圏拡大(遠方の旅行者の気持ち)を前提とした発想が必要なのである。

しかし、地元では、商圏を拡大していきたい事業者と、そうではなく地元に根ざしたい事業者の両者がいる。前者としては、単価を上げていきたいが、後者としては、それよりも客数を確保したいという発想が優先される。前者は、平日には外国人が入るようになってほしい、後者は、平日はシニアでしっかり埋めたいと考える。

「青もの」(青魚、野菜、山菜、豚肉など)と「赤もの」(エビ、カニ、マグロ、牛肉など)、地産地消の「A級グルメ」と集客力のある「B級グルメ」、「地元のじいちゃんやばあちゃん」と「ゆるキャラ」。いずれも、前者は都市住民や外国人など遠い商圏の方が喜ぶ商材であり、後者は地元の皆さんが喜ぶ商材。どちらがよいという議論は愚論でも、どちらを目指すのか、事業者としてはしっかりと把握しておきたい点である。

DMOとDMCは、前者の「商圏拡大」の発想が前提となっている。日本の人口は減少し、地元だけでは集客できなくなるという背景のためだが、地元重視の皆さんには少々「しっくりこない」発想かもしれない。

(中略)

観光協会では地元活性化を行うが、広域のDMOでは商圏拡大を前提としたマーケティングを担う。まちづくり会社として設立されたDMCは、多様化する顧客層に対応した商品群や仕組みを整備するといった役割分担が可能となる。

井門隆夫(2015)「地域観光事業のススメ方第68回」『センター月報』2015年11月号

 

 

読み終えて

急速に注目を集めているDMOですが、日本では馴染みのない組織・機能であるため、なかなか正確な理解がしにくい点があります。したがって、井門先生をはじめとした様々な専門家の考え方を咀嚼しながら、じっくりと理解を進めたほうが良いように思います。

こうした中、今回の連載では、「商圏拡大」の発想がキーワードとしてあげられていました。

現在、魚沼地域の活性化を目指す一般社団法人雪国観光圏のDMO研究検討会でも、「商圏拡大」の視点を忘れずに取り組んでいきたいと思います。