日本版DMOとは?雪国観光圏「第1回DMO研究検討会」講義の報告

 

主に観光振興を担当している新潟経済社会リサーチセンターの江口です。

近年、観光振興の分野では、「日本版DMO(Destination Marketing/Management Organization)」への関心が高まっています。

こうした中、魚沼地域の活性化を目指す一般社団法人雪国観光圏ではDMOについて、どのように関わっていき、それを来年度以降の活動にどう反映させていくのか?を話し合う「DMO研究検討会」を立ち上げました。

先日、その第1回研究検討会が開催され、事務局として参加してきましたので、今日はその内容をご紹介いたします。

 

雪国観光圏のWebサイト

▲雪国観光圏のWebサイト

 

地域経済全体に活性化に向けて

日本版DMOとは、内閣官房まち・ひと・しごとの資料によれば、「地域の観光振興を戦略的に推進する専門的な組織」と説明されています。

また、DMOは「観光産業だけでなく農林水産物、伝統的工芸品、自然、文化、芸術、スポーツ等の地域資源を活用する多様な主体をまとめあげるプラットフォームとしての役割」を果たしていくことで、「地域経済全体の活性化を担う起爆剤となることが期待」されています。

さらに同資料には、以下のような3段階のDMOを「早急に育成していくことが必要である」と記載されています。

レベル1

レベル1のDMOは

  • ビッグデータ等を活用したデータ分析
  • KPI(重要業績評価指標)の設定
  • PDCAの導入
  • 官民連携による観光地域づくりのビジョン策定

に取り組むものを指し、5年以内に全国で50か所程度、育成していくことが目標として掲げられています。

レベル2

「レベル1」に加えて、

  • ワンストップサイトの活用等による本格的マーケティング
  • 観光産業を中心とするプラットフォームの形成

に取り組むDMOを「レベル2」としています。5年以内に全国で10~30か所程度、育成していくことを目指しています。

レベル3

「レベル1」「レベル2」に加えて、

  • 地域資源を活用する多様な主体のプラットフォーム形成
  • 安定的な財源確保による自律的経営の実施
  • 専門的人材の確保と育成
  • 民間投資の拡大
  • 広域連携

を担うDMOを「レベル3」としています。全国で5~10か所程度の育成を目指しています。

 

講演内容

DMOについては以上のように説明されますが、日本では馴染みのない組織・機能であるため、なかなか理解しにくいところもあります。

そこで、「雪国観光圏第1回DMO研究検討会」では、まず、DMOの基礎知識を共有するために、外部講師を招いて講義を受けることから始めました。

日本国内外の事例を交えた講義は「なるほど…」「そういうことか!」と唸ることの多い、とても分かりやすい内容でしたので、その概要を以下にご紹介します(講師ではなく、あくまでも私なりの解釈です)。

 

雪国観光圏・第1回DMO研究検討会・意見交換

 

 

◆DMOとは、「観光による地域振興(観光まちづくり)」を目的に、観光地ブランディングにおいてリーダーシップを発揮する組織である。

◆DMOは大きく2種類に分けられる。1つめは、地域の民間事業者などを束ね、観光地ブランドの確立を推進する「マネジメント型」である。これは、どちらかといえば小規模な自治体に当てはまる。

◆2つめは、地域の民間事業者などの後方支援をしながら観光地ブランドの確立を目指す「マーケティング型」である。こちらは、大規模な自治体に向いている。

◆国内の旅行市場が横ばいまたは減少する中、今や日本の観光地全てがライバル同士となっている。そのため、単なるセールスやプロモーションではなく、マーケティングや、地域づくりを通しての「観光地ブランディング」が必要な時代となっている。

◆観光地のセールスやプロモーションは従来、それぞれの観光協会などが担っていた。一方、海外などではマーケティングやブランディングについては、DMOがその役割を担っている。

◆現状、日本の観光協会は互助会的な色彩が強く、マーケティングやブランディングを担う機能を持ち合わせていないところも多いと思われる。

◆マーケティングやブランディングそのものはセールスやプロモーションと異なり、利益を生まない。また、ブランディングを進めるには、専門的な知識と経験を有する人材の育成が必要となる。ただし、人材の育成には時間がかかる。

◆したがって、ブランディングを確立するには、長期安定的な財源が不可欠である。その際、合意形成など難しい問題もあるが、入湯税の引き上げや宿泊税の導入などが検討材料の1つとなる。

◆DMOについては、KPI(重要業績評価指標)も大切である。現状、日本の観光協会では活動内容(アウトプット)によって実績評価しているところが多いと思う。具体的には、年度初の計画通りに事業や活動がおこなわれたかどうかで評価している。これを従来通りのままにするのか?より踏み込んで、数値をからめた結果責任で評価するか?など、KPIを事前に決めておいた方が良い。

 

 

聴講してみて

以上が特に「勉強になったなぁ」と強く思った点です。具体的な事例を踏まえた分かりやすい講演でした。

この講義の後、外部講師と委員の質疑応答・意見交換がおこなわれましたが、長くなりましたので、この点は次回にご紹介したいと思います。