差別化をするには?

 

新潟経済社会リサーチセンターの江口知章です。

私どもの機関誌「センター月報」では、毎月、ビシネス心理学講師 酒井とし夫氏より、商売に役立つ心理学的なヒントやアイデアなどをご紹介いただいております。

今月の「センター月報6月号」では、中小企業が差別化を図る際のヒントについて、ご説明いただきました。本日はその原稿の一部をご紹介いたします。

 

独自化、差別化

 

中小企業の基本戦略

 

中小個人企業の基本戦略のひとつに差別化がありますが、差別化とは言いかえると強い競合先や大手企業とは「まったく別なことをする」ということになります。

(中略)

では、どうすれば経営資源が少ない、中小個人企業が1 位になれるのか?それは、地域や商品分野あるいは客層や営業方法、顧客維持方法のどれかあるいは複数の項目で小さなものに目標を定めて1 位を実現する、ということになります。

簡単に言うと「万人ウケをねらわない」ということであり、ひと言で書くと「差別化」になり、もっとシンプルに言うと他社(他者)とは違うことをやるということであり、他社がやっていることを捨てるということでもあります。(もちろん、仕事なので需要がある程度見込める分野・市場という条件はつきますが)

私の知人に福田剛大さんというコンサルタントがいます。ご存知のとおりコンサルタントの業界も強者がひしめいています。そのなかで彼は生き残っていかねばなりません。

しかも、彼は対人恐怖症でコミュニケーションもうまく取れないのです。しかし、今、彼は大人気のコンサルタントの1人です。

(中略)

なぜか?

それは彼が万人ウケをねらわず差別化したからです。彼は経営に関して指導を行わないコンサルタントです。営業もマネジメントも会計も広告も販促に関しても一切指導はしません。彼がコンサルティングするもの、それはたった1つ。

「名刺」だけ。

彼は日本でただ1人の名刺専門のコンサルタントなのです。

彼自身はもともと大手広告代理店の営業マンだったのですが、人見知りでコミュニケーションが苦手だったのだそうです。

プレゼンテーションに参加してもほとんどクライアントと話ができなかった。そして、ある日次のように思い立ったのだそうです。

「自分がしゃべらなくても仕事が受注できる方法はないだろうか?…そうだ!自分の代わりに名刺に営業をしてもらおう」

そして、日々彼は名刺を改良し、試行錯誤のすえ、ついに相手に24枚渡すと1 件の仕事が受注できる名刺を完成させたのです。その「名刺」の作り方を指導する専門のコンサルタントになったのです。

彼は客層にコミュニケーションが苦手な営業マンを想定したコンサルタントです。その他の客層はすべて捨てたのです。経営指導も営業指導もマネジメント指導も税務指導も広告指導も販促指導も全部捨てたのです。彼がコンサルティングするものは名刺だけ。

彼は他のコンサルタントとは差別化を図りました。客層を絞り、その他をすべて捨てました。だから、彼は万人ウケしないコンサルタントです。しかし、そのためにテレビ出演もはたすほどの人気コンサルタントになれたわけです。

人間は他と違ったことをすることに無意識に抵抗感を抱きますが、中小個人企業の基本戦略のひとつ、それはやはり差別化にあるのかもしれません。

 

酒井とし夫(2017)「街でみつけた商売繁盛心理学 今すぐできる選りすぐりのアイデア 第15回」『センター月報』2017年6月号

 

感想

あれもこれも狙わず、何か1つに「絞る」ことの大切さは分かっているものの、実際、絞ろうとすると、それなりに勇気が必要であり、二の足を踏む場合が多くなるものです。

だからこそ、勇気をもって絞りこんだ人だけが差別化・独自化に成功するのかもしれません。