販路開拓・店舗開店などで効果!購入型のクラウドファンディング 

 

先月、「クラウドファンディングのレポート」をまとめた新潟経済社会リサーチセンターの銀山です。様々な種類のあるクラウドファンディングですが、なかでも購入型のクラウドファンディングは、新商品や新店舗などの販売・開店を進めていくときに効果的であり、利用が拡大してきています。そこで、今回は企業における「購入型」の活用についてまとめました。

 

 

「購入型」の流れ

さて、購入型とはどんなものなのでしょうか。以下に、その流れをご紹介します。

 

①プロジェクトの起案

企業が支援のリターンとなる商品・サービスを決めるところから、「購入型」のクラウドファンディングは始まります。新規性や限定性がないと支援が集まりにくいことから、新商定品・サービスの販売開始時や、新店舗の出店時などでの利用が多いです。

②募集開始

次に資金調達者は目標とする支援金の調達額や募集期間、リターンなどを掲載したプロジェクトページを作成します。専用サイトのシステムを活用して作成しますが、ワードなどの操作ができれば、ある程度簡単に作成できます。また、「どの様に作成すれば、資金を集めやすいか」などのアドバイスをもらえる場合もあります。プロジェクトページ作成後、専用サイトに掲載を申請して専用サイト運営者の審査を受けた後に、募集が開始されます。

③入金

支援者からの支援金が集まり、目標とした支援金額に到達すると資金調達者に入金されます。早期に当初の目標金額を調達できた際には、さらに目標とする支援金額を引き上げて募集を続ける場合もあり、入金時に手数料を専用サイトに支払うことが一般的です。

一方、目標に達しない場合は、プロジェクトがキャンセルされ、支援金は支援者に返金されて専用サイトに支払う手数料は発生しません。ただし、最近では、調達額が目標に達しない場合でも、資金を返金せず、プロジェクトを実施し、支援者にリターンを提供する場合もあります。

④リターンの提供

支援金額が目標以上に集まった場合、募集期間終了後に、資金調達者は商品やサービスを支援者に提供します。「購入型」は予約販売と同様の形式となるため、商品の場合は決められた在庫数を揃えておけばよく、過剰な在庫を抱えなくてもよいというメリットもあります。

 

「購入型」を利用するメリット・デメリット

それでは、「購入型」にはどんなメリット・デメリットがあるのでしょうか?各々をまとめると以下のようになります。

メリット① テストマーケティング

「購入型」では支援のリターンである商品・サービスへの支援金の集まり具合により、今後、量産して販路拡大を目指すのか、開発中止とするのかなどを判断できるメリットがあります。近年ではこの効果に注目して、量産する前にどのくらい消費者のニーズがあるのかを把握したいメーカーがテスト販売の一環として利用するケースが増えてきています。

メリット② 高い広告効果が得られる場合もある

新規性や話題性がある場合は、専用サイト内で注目のプロジェクトなどとして特集コーナーなどに取り上げられ支援者の閲覧数が増えることで、高い広告効果を得られる場合もあります。また、プロジェクトへの経緯や企業の思いなどを伝える場合が多く、共感した支援者が企業の優良顧客となる場合も多いようです。

メリット③ 支援者(消費者)の声を聞き商品の改良・改善の場とすることができる

「購入型」の専用サイトでは、支援者が企業にコメントを送る場合が少なくないです。単純な応援メッセージから商品に関する改善提案まで様々です。例えば、「デザインをこうして欲しい」といった支援者(消費者)の声からヒントをもらい、商品を改良している事例もみられます。

 

デメリット

商品やサービスに新規性や限定性がないと、支援が集まりにくいため、一般的な商品・サービスの提供には向かない場合が多いです。また、専用サイトによっては、クラウドファンディングの期間中は一般販売をしないようにお願いする場合もあるそうです。また、専用サイトの利用料も発生します。募集した金額の2割程度が一般的です。ただし、通常の流通網で販売するときと比べると、そんなに高いと思わないという企業もあるようです。

 

「購入型」の主な利用方法のまとめ

①新商品のテスト販売

新商品を開発して販売を始めるとき、または海外からまだ日本では発売されていない商品を輸入して販売するときなどに、「購入型」を活用している事例が多いです。リターンをこれらの商品とすることで、どれくらいのニーズがあるのかなどを、支援金の集まり具合から知ることができます。

また、新商品への改善案なども支援者からもらえることもありますので、大量生産する前にブラッシュアップすることも可能です。さらに、多くの支援が集まれば、その実績を展示会などに来たバイヤーなどにアピールして販路開拓につなげることもできます。センター月報6月号で紹介した株式会社ツカダは、クラウドファンディングでの成功を販路開拓につなげました。

 

②新店舗開店時の集客

飲食店やゲストハウス、コワーキングスペースなどの店舗を新規開店する時に「購入型」を活用する事例が多くみられます。リターンの設定では、店舗などを利用する際のクーポン券などにしている場合が多いようです。

飲食店の経営においては、特に開店してから固定客が定着するまでが難しいといわれています。しかし、飲食店の会員権をリターンとして支援を募集し、開店当初から連日、支援した会員で満席が続いたという成功事例がありました。それ以降、集客面の効果を目的に「購入型」を利用するケースが増えてきているようです。

 

まとめ

「購入型」では、知名度やブランド力よりも商品の良さやストーリーなどで支持される傾向がありますので、特に中小企業で活用が進むことを期待したいところです。

BtoB向けの製品などでも、クラウドファンディングを行ない、今までになかった顧客を獲得している事例などもみられます。新商品や新店舗などの事業を進める際は、活用の検討をお勧めします!

 

なお、弊社の機関紙「センター月報6月号」に掲載した「クラウドファンディングの現状と活用のポイント」では、「購入型」のほか、「投資型」についても紹介しています。ご興味ある方はぜひ読んでみてください。