川島良彰氏著『コンビニコーヒーは、なぜ高級ホテルより美味しいのか』の感想

 

新潟経済社会リサーチセンターの江口知章です。

先日、川島良彰氏著『コンビニコーヒーは、なぜ高級ホテルより美味しいのか』をご紹介いたしましたが、その際、内容については詳しく触れなかったので、今回は改めてその概要や感想などについて、改めてお知らせしたいと思います。

 

コーヒー

 

コンビニコーヒーの歴史

コンビニエンスストアのカウンターで淹れたてのコーヒーを購入する人は多いと思います。今では生活にすっかり定着した感じがありますが、改めて確認すると、2010年代前半から各チェーンがいわゆる「カウンターコーヒー」に取り組み始めたようです。

フリー百科事典「ウィキペディア」によると、以下のように説明されています。

 

1980年代前半より、セブン-イレブンで店頭で注文を受けてコーヒーを提供する方法を模索していたが、ビジネスとしては失敗続きであった[11]。2002年にセブン-イレブンの4度目の挑戦として「バリスターズカフェ」を展開し、2005年には関西・東海地区周辺に約1000店まで拡大して一定の成功を得るが、ビジネス面としては納得の成果とはいかなかった[7]

2011年1月にはローソンが、2012年9月にはファミリーマートが、それぞれカフェラテの販売を開始する[12]。その後、2013年1月にセブン-イレブンが5回目の挑戦としてセブンカフェを開始するとその展開の早さから大ヒットを記録した[7][13]。2014年10月には、JR東日本系の駅ナカコンビニであるNewDays(NEWDAYS)も「EKI na CAFE」としてカウンターコーヒーを開始した[14]

 

注:[]の番号は[出典番号]

 

「コンビニコーヒー」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。
2018年4月10日 (火) 15:05   UTC、URL:http://ja.wikipedia.org/

 

なお、一般社団法人全日本コーヒー協会の「日本のコーヒー需給表」をみると、コーヒーの「国内消費」は緩やかに増加しており、特に2012年頃から増勢が強まっています。増加の要因の一つとして、コンビニエンスストアでの「カウンターコーヒー」の提供があるとみられます。

 

コーヒーの国内消費

 

上記の「国内消費」を計算する際には生豆の輸入量が使用されています。そこで、財務省『貿易統計』をもとに国別の生豆の輸入量を調べてみると、以下のようなグラフになります。

 

コーヒー生豆の輸入量

 

輸入量の最も多い国はブラジルとなっており、以下、ベトナム、コロンビア、インドネシア、グアテマラの順となっています。この5年間に限ると、ブラジルからの輸入量が低下する一方、ベトナム、コロンビアの輸入量が上昇しています。

こうした中、本日、ご紹介する――川島 良彰氏著『コンビニコーヒーは、なぜ高級ホテルより美味いのか 』(ポプラ新書)――では、コンビニエンスストアで提供される「カウンターコーヒー」の人気の秘密や、家庭でコーヒーを美味しく味わうための方法、そして栽培から輸送・保管の現状などについて書かれており、コーヒーが好きな方に特におすすめできる書籍となっています。

なお、地域活性化や農商工連携に取り組む方々にもヒントとなる記載が多く含まれています。例えば、以下の点が特に心に響きました。

 

ワインの価格は、1本1000円以下から100万円以上までピンからキリまであります。とっても手頃なテーブルワインでもおいしい銘柄もありますし、高いワインはそれ相応においしいものです。つまり、価格と品質の関係が明確になっています。

しかし、コーヒーの場合は、残念ながら消費者がどこにおいしさの基準を持っていったらいいのかわかりません。

 

川島 良彰(2015年)『コンビニコーヒーは、なぜ高級ホテルより美味いのか 』(ポプラ新書)

 

現状、美味しさの基準が分かりくい状況であるため、次のような提案をされたそうです。

 

同じ銘柄だからと一括りにせず、畑ごとに収穫して、独自の品質規格を作り、特別な精選加工を施して輸出方法にも注意した製品を作って販売することを提案し続けましたが、受け入れられることはありませんでした。

(中略)

消費者のみなさんに、コーヒーにも品質のピラミッドがあることを知ってもらいたかったのです。

そのために、まずは頂点に相応して最高品質の基準を示す必要がありました。

 

川島 良彰(2015年)『コンビニコーヒーは、なぜ高級ホテルより美味いのか 』(ポプラ新書)

 

この品質ピラミッドについてはより詳しく以下のように説明されています。

 

手軽に飲めるコーヒーから、とっておきに飲むコーヒーまで、それぞれのシーンに合ったコーヒーを選べるように品質のピラミッドを作ること。つまり全てのコーヒーをおいしくすることが、私が作った会社、ミカフェート社のミッションです。

 

川島 良彰(2015年)『コンビニコーヒーは、なぜ高級ホテルより美味いのか 』(ポプラ新書)

 

実は先日、ご紹介した地産地消を推進する会議において、ある飲食店の方が同じような話をされているのを思い出したため、上記の箇所が特に印象に残りました。

その飲食店の方は「地域内で栽培された農産物を独自の基準により細かく区分けした方が良いでしょう。その上で、最高品質の農産物は地域外に販売せず、地域にお越しいただかないと食べられないようにすると、農産物の品質と地域全体の知名度が高まるでしょう」という趣旨の発言でした。恐らく川島氏と同じく、使用方法や利用シーン、値段などによって選びやすくすることを意図した発言だったと思われます。

 

まとめ

品質のピラミッドを作り、使用方法や利用シーン、値段などによってお客様が選びやすくするという取り組みは、コーヒー以外の農林水産物でも応用可能だと思われます。

さらに、農林水産物以外でも、お客様にとって選びにくい商品・サービスの分野にも広がる可能性があると感じました。

 

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一般社団法人全日本コーヒー協会の統計を活用させていただきました。この場を借りて感謝申し上げます。