消費税率引き上げが個人消費に与える影響は?

新潟経済社会リサーチセンターの近です。

10月1日に消費税が8%から10%に引き上げられました。

2014年4月に5%から8%に引き上げられた時(以下、前回増税時)を振り返ると、増税前に大きな駆け込み需要がみられたものの、その後に反動減が生じたことなどから、個人消費の低迷が続きました。

そこで、前回増税時の個人消費の動向を振り返るとともに、今回の増税前の動きを前回と比較しながら、10月以降の個人消費の見通しをまとめてみたいと思います。

なお、本投稿は2019年9月10日時点でまとめた「センター月報」2019年10月号の「トピックス 消費税率引き上げが個人消費に与える影響」を加筆修正したものです。


 

前回増税時における県内の経済動向

前回増税時の新潟県景気動向指数(一致指数)をみると、13年1-3月期以降上昇傾向をたどり、14年1-3月期にピークを迎えました。

増税後は17年末頃からの上昇基調に転じるまで、約3年間低迷が続きました。

前回増税時と今回増税時の県内個人消費

①百貨店・スーパー販売額の動向

前回増税時の百貨店・スーパー販売額(全店)をみると、まとめ買いや駆け込み需要は増税直前に発生し、大幅な伸びとなりました。増税後は17年7月期頃に持ち直しの動きがみられるまで、約3年を要しました。

足元の百貨店・スーパー販売額は、19年4-6月期は前年をやや下回る推移となっており、駆け込み需要はみられていませんが、「前回同様増税直前になればまとめ買いなどが出てくる」と予想する販売店からの期待の声も聞かれました。ただし、今回は家計消費支出の約2割を占める飲食料品について、軽減税率が適用されて増税前のまとめ買いが起こらないと予想されることから、増税直前の販売額増加とその反動減は前回に比べて小幅にとどまるとみられます。

②家電大型専門店の動向

前回増税時における家電大型専門店の動きをみると、洗濯機や冷蔵庫などの高価格帯商品のほか、エアコンやテレビなど幅広い商品に駆け込みの購入がみられました。増税後は15年末頃まで低迷が続きました。

足元の家電大型専門店販売額は、18年末頃から前年を上回って推移するなど、一部に駆け込み需要がみられていることから、増税後の反動減を懸念する声も聞かれています。ただし、来年にサポートが終了するパソコンの買い替え需要に加えて、東京五輪を控えた4Kテレビへの購入意欲の高まりが落ち込みを緩和すると期待されます。

③乗用車新規登録・届出台数の動向

前回増税時の乗用車新規登録・届出台数は13年9月から7カ月連続で前年比10%以上の伸びとなるなど、駆け込み需要がみられました。増税後は前年を下回る推移が続き、持ち直しの動きとなるまで約2年半を要しました。

足元の乗用車新規登録・届出台数は、新車投入効果もあり前年をやや上回って推移しているものの、駆け込み需要は一部にとどまった模様です。需要の平準化を図る対策として増税後に自動車税が引き下げられることなどもあるため、増税前後の変動は前回に比べて小幅にとどまるとみられます。

まとめ

今回の消費増税は前回よりも税率の引き上げ幅が小さくなっています。そのほか、軽減税率制度をはじめとした政府による各種経済対策が講じられていることもあり、駆け込み需要とその反動減は前回に比べて限定的との見方が多いようです。

ただし、米中貿易摩擦による海外経済の減速から輸出や生産活動が停滞すれば、雇用・所得環境の悪化や株価・為替の不安定な動きなどを通して、消費者の節約志向が高まる可能性もありますので、注意してみていく必要があります。