今後の県内の乗用車の販売動向は?

 

新潟経済社会リサーチセンターの小林です。

足元の新潟県の景気は「回復している」(日本銀行新潟支店「新潟県の金融経済動向〔2018年2月発表分〕」。以下、日銀)または「持ち直しの動きが広がっている」(弊社〔2018年2月発表分〕。以下、弊社)というように、総じてみれば良い状況にあるとみられます。そして、その景気の良し悪しを左右する項目の一つである個人消費も「緩やかに持ち直している」(日銀)または「持ち直している」(弊社)というように、悪い状況からは脱しているようです。

 

 

日銀の資料によると、個人消費の良し悪しの判断材料である「百貨店・スーパーの売上高」や「家電販売額」「旅行取扱高」の3つが足元で持ち直しているとしています。その一方で、「乗用車新車登録・届出台数(軽乗用車含む)」は前年を下回ったとしています。国土交通省北陸信越運輸局新潟運輸支局の資料をみると、「乗用車新車登録・届出台数(軽乗用車含む)」は2017年11月から2018年1月の3か月連続で前年割れとなっています。それでは乗用車の売れ行きは不調なのでしょうか?

 

乗用車新車登録・届出台数は2年連続で増加

2005年以降の新潟県内における「乗用車新車登録・届出台数(軽乗用車含む)」の推移をみると、乗用車(普通車と小型車の合計)は2005年から2009年にかけて減少が続いたものの、2010年から2014年にかけては、ほぼ横ばい圏内で推移していることが分かります(2011年は東日本大震災の影響で減少)。その後の2015年は前年の消費税率アップの影響で減少しましたが、2016年と2017年は2年連続で増加しています。

 

 

また、軽乗用車は2005年から2011年までは緩やかな減少傾向にありました。しかし、2012年に大幅に増加した後、2016年以外は4~5万台と過去に比べても高水準で推移しています。したがって、2015年以降の新潟県内における乗用車の売れ行きは比較的順調であると言えそうです。

 

 

保有台数も微増が続く

次に、一般財団法人新潟県自動車標板協会の資料をもとに、新潟県内における乗用車・軽自動車の保有台数をみると、乗用車の保有台数は微減の傾向が続いています。ただし、2016年から2017年にかけては微増となっています。また、普通車と小型車の別にみると、普通車が微増傾向にあるのに対し、小型車が減少傾向にあることが分かります。

 

一方、軽自動車の保有台数は微増の傾向が続いています。結果として、乗用車と軽自動車の保有台数を単純に合計すると、新潟県における乗用車・軽自動車の合計保有台数は微増で推移していることが分かります。

 

 

ということは、廃車にされる乗用車が少なくなっている=使用年数が長い乗用車が多くなっているとも考えられます。そこで、前掲の一般財団法人新潟県自動車標板協会の資料をもとに、乗用車の平均使用年数※をみてみると、新潟県の乗用車の平均使用年数は、2005年から2010年にかけて年々上昇した後、2011年以降は概ね横ばいで推移しています。この傾向は全国も同様です。しかし、2005年から2009年の間は、全国は新潟県よりも1年程度短かめで推移していましたが、2010年以降差が縮まり、2017年にはほぼ同値となっています。つまり、新潟県における平均使用年数が、足元で頭打ち感がみられることを勘案すると、新潟県においては全体的に買い替えサイクルが短かくなりつつあると言えるのかもしれません。

※平均使用年数:新規(新車)登録してから抹消登録(県外への転出を含む)するまでの平均年数で、人間の平均寿命に相当する

 

自動車免許保有者数の減少が始まるが・・・

この2~3年間「乗用車新車登録・届出台数」が増加するとともに、保有台数も増加傾向にあることから、一進一退はあることでしょうが、新潟県内における自動車の売れ行きの見通しは、そんなに暗くはなさそうです。ただし、一点気がかりなデータがあります。それは自動車免許保有者数に関するデータです。新潟県内における自動車免許保有者数は、約157万人(2017年)となっていますが、2014年以降は僅かずつではありますが減少が続いています。少子高齢化が進むなか、この傾向は変わらないとみられます。自動車免許保有者数の減少が、すぐに乗用車保有台数の減少につながるわけではないと思いますが、影響することは間違いないとみられます。

その一方で、自動車業界では少子高齢化社会を見据えた技術革新により、自動ブレーキ搭載車や自動運転車の実用化が進みつつあるようです。また、モデルチェンジを通じて、デザイン性や機能性に優れた車種を輩出しています。これらが、消費者の潜在的な買い替え意欲をくすぐることで、買い替えが活発になることも考えられます。

少子高齢化や人口減少は、ともすると個人消費などの実体経済にマイナスの影響ばかりを与えると考えがちです。しかし、消費者の潜在的なニーズを満たす商品やサービスを追求していくことに目を向ければ、先行きを悲観する必要はなさそうです。