地域活性化に携わる人必読!木下斉著「稼ぐまちが地方を変える」感想

地域おこしに必要なこと

主に観光地の活性化などを担当している、新潟経済社会リサーチセンターの江口です。

観光地を含め、地域の活性化を進める際には、色々な立場の人たちの協力が不可欠です。したがって、人間関係をはじめ、様々な調整、気配りが必要となります。

こうした中、「配慮しすぎるな!」「他人ではなくまずは自分!」「地域の稼ぎを増やすことから始めよう!」という書籍――木下斉(2015)『稼ぐまちが地方を変える』(NHK出版)が出版されました。言いにくいことをズバッと本音で語る、とても刺激な書籍でしたので、今日はその主な内容と感想をご紹介します。

地域活性化とは?

地域活性化には様々な定義があると思います。
例えば……

 

「地域おこし」や「地域活性化」とは、地域地方)が、衰えた経済力や人々の意欲を向上させたり、人口を維持したり増やしたりするために行う諸活動のことである。

「地域おこし」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。
2015年5月16日 (土)01:50 UTC、URL:http://ja.wikipedia.org/

と説明される時があります。

地域活性化は、対象となる活動範囲や成果が広く、人によっても捉え方が異なるため、どうしても漠然とした印象をもってしまいがちです。

一方、木下氏の書籍では、地域活性化とは端的に言うと「地域の稼ぎを増やすことなんだ」という点が強調されています。

 

私が地域で事業を行うときにはいつも、「まちを一つの会社に見立てて経営する」ことを基本にしています。

(中略)

民間は言うまでもなく、行政も含めて、まちを一つの会社と見立て、「稼ぐ」という意識で行動していくことが不可欠なのです。

木下斉(2015)『稼ぐまちが地方を変える』NHK出版(NHK出版新書)pp.3~4

 

 

利益を生む事業をやろう!

それでは、地域の稼ぎを増やすにはどうしたら良いのでしょうか?

本書では、行政の予算・補助金をあてにするのではなく、自らの資金で事業を始め、お金を稼ぐことが大切だと指摘されています。

 

稼ぐまちを実現するために利益を生む事業をつくろう

木下.2015,p.189

「活動」ではなく「事業」としてやる

今、まちづくりは「活動」ではなく、「事業としてのまちづくり」が有効。活動があってもいいが、活動だけでは真の意味でまちを変えることには至らない。活動をやるからといって補助金を求めるのは本末転倒。

木下,2015,p.199

 

 覚悟を決めた2~3人の仲間が入れば十分!

続いて、利益を生む事業をするには、何が必要でしょうか?

それには、2~3人で良いので、覚悟を決めた少人数のグループが不可欠だと述べられています。

 

最初は数人で構わないのです。

(中略)

地域活性化で成果をあげるのは、一致団結した大集団ではなく、孤独と向き合って覚悟を決めた少人数のグループです。

木下,2015,pp.90~91

 

周囲の合意よりも大切なこととは…

本当に少数の実践者だけで良いのでしょうか?周囲の合意はいらないのでしょうか?

この疑問に対しては、反対者からの合意を取りつけるよりも、仲間たちと進める事業のブラッシュアップに力を入れた方が良いとアトバイスされています。

 

地域での軋轢は、時間が徐々に解決してくれます。継続は力なり。やり続けて成果を出し続ければ、周りも自然とそれを認めてくれるようになります。初期が一番苦しい時期ですが、だからこそ反対者を説き伏せるよりも、信頼出来る仲間と努力することが大切です。

木下,2015,p.110

 

 読み終えて

以上のとおり、主な内容を4点ほど抽出しました。この他にも、稼ぐための具体的な手法から注意点、さらに行政との付き合い方まで幅広く掲載されており、とても学ぶべき点の多い書籍です。

話題となった著者の寄稿のほか、ブログTwitter他の書籍などを併せて読むと、より理解が進むと思われます。

個人的には、著者が「補助金に頼らない」との立場に至った苦い経験談を読めたことが一番、良かったです。この経験談を理解した上で、上記の寄稿などを読むと、より一層、理解が深まります。

 

最後に

私自身は観光地をはじめとした地域活性化に取り組む際には、「実践」にこだわってきました。

個々の旅館・商店の売上・利益が伸びなければ、地域の活性化はありえないとの考えです。そのため、温泉地で旅行会社を作ってオプショナルツアーや土産物を販売したり、売上に直結するような販促活動の研修会を開催したりしてきました。

しかしながら、本書を読んでいると、「自分の取り組みはまだまだ甘い。もっと頑張らねば…」と尻を叩かれた感じがします。

特に、悪戦苦闘しながらも地域活性化に取り組む民間業者、自治体職員、商工会議所・商工会の職員、そして地銀系シンクタンクの研究員の方々に、是非、読んでいただきたい書籍です!