松之山温泉で進められているバイナリー発電を活用した地域活性化の取り組み・1

 

こんにちは。新潟経済社会リサーチセンターの江口です。

現在、十日町市の松之山温泉では、温泉を使ったバイナリー発電の実証試験がおこなわれています。併せて、バイナリー発電に使用した後の温泉を有効活用するための取り組みもおこなわれています。

こうした試みを地域内外の関係者に広く紹介する「お披露目会」が先日、開催されました。

私も参加してきましたので、今回と次回の2回に分けて「お披露目会」の模様をご紹介したいと思います。まず今回は、温泉を有効活用するための取り組み内容を、簡単にまとめたいと思います。

 

ポンプ

▲整備事例~消雪パイプに使用するポンプ小屋

 

そもそもバイナリー発電とは?

バイナリー発電とは、未利用の温泉などを使って発電するため、温泉発電とも呼ばれています。

具体的には、水よりも低い沸点を持つ媒体(松之山温泉ではアンモニア)を温泉の熱で沸騰させ、その蒸気でタービンを回す発電方法です。詳しくは、独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構のウェブサイトをご覧下さい。

 

実証試験がスタートするまでの経緯

きっかけは、2009年におこなわれた新潟県の調査でした。「小規模地熱発電(バイナリー方式)導入の可能性調査」がおこなわれ、バイナリー発電の導入可能性が高い地域の一つとして、松之山温泉が選ばれました

その後、2010年度に新潟県から委託された地熱技術開発株式会社(東京都)が中心となり、環境省「地球温暖化対策技術開発等事業(競争的資金)」に応募。無事、採択を受けて、3年間の実証試験がスタートしました(共同研究者:国立大学法人弘前大学及び独立行政法人産業技術総合研究所、協力:新潟県・十日町市)。

2013年度からは、環境省「CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業」として、引き続き実証試験が続けられています。

 

温泉を有効活用するための取組内容

実証試験が進む一方、十日町市、新潟県の支援のもと、松之山温泉では経済産業省「地熱開発理解促進関連事業」を活用して、次のような取り組みをしてきました(当センターも事業開始前から協力させていただきました)。

 

湯治豚の開発・改良

松之山温泉では、地元産の豚肉を真空パックにした上で、松之山温泉の源泉に2時間ほどじっくりと温めて低温調理する「湯治豚」という名の料理を夕食の前菜にお出ししてきました。もちろん、料理名は、豚肉にゆっくり温泉に浸かってもらうことから名付けたものです。

今回、この湯治豚を前菜料理としてではなく、旅行者の体験プランや昼食用の料理として、改めて開発・改良を加えました。

 

湯治豚

▲湯治豚を温めている様子(ひなの宿 ちとせさんからお借りしました)

 

発電所から温泉街までの温泉管(配管)整備と、観光交流施設の整備

バイナリー発電に使用した温泉を温泉街に引き入れて有効活用するために、約1㎞の長さの配管を埋設しました。

その上で、観光交流施設である古民家「地炉(じろ)」に、屋根融雪、床暖房、足湯、低温調理のための温泉調理槽などを整備しました。

地炉

▲古民家「地炉」の外観

床暖房

▲古民家「地炉」の床暖房

足湯

▲古民家「地炉」の足湯

調理槽

▲湯治豚の温泉調理槽

 

新しい体験プランの企画・開発

旅行者が気楽に集う場所となるように、古民家「地炉」の囲炉裏を使った体験プランも開発しました。これは、松之山温泉に程近い棚田でとれた魚沼産コシヒカリから米粉パン生地を作り、それを竹の筒にぐるぐると巻いて囲炉裏で焼くプランです。

棚田棚田の米粉パン囲炉裏焼き体験

▲「棚田の米粉パン囲炉裏焼き体験」の様子

温泉街道路の融雪

観光交流施設などで活用した温泉の熱は、温泉街道路の消雪パイプにも活用する予定です。これで、冬の除雪作業が大幅に軽減できると期待されています。

 

消雪パイプ

▲消雪パイプ

最後に

2年間かけて、ここまで整備が進んできました。長いような短いような…不思議な感覚です。

ただし、これで終了ではありません。整備された施設・サービスを有効活用するためには、さらに知恵と行動が必要だと思います。より良い方向に進むために、当センターも引き続きバックアップしていきたいと思っています。

長くなりましたので、「お披露目会」については、次回、ご紹介いたします。