お客様のことが見えなくなったら…

 

新潟経済社会リサーチセンターの江口知章です。

仕事をしていると、「あれ、どこを見て仕事をしていたのだろうか?」と反省する時はありませんか?私は時折、あります。特に仕事が上手くいかない時には…。

振り返ってみると、仕事が予定通りに進まない場合、お客様を見ずに、自分のこと――自分の都合や自分の興味・関心ばかりを優先している時が多いような気がします。その際、「あれ、どこを見て仕事をしていたのだろうか?」「お客様のことを見ていなかった」と反省しきりです。

私のように、そもそもお客様のことを見ていないのは問題ですが、お客様を見ていても残念ながらお客様の意向が見えない、分からない場合もあります。そのような場面でヒントとなる書籍を先日、読みましたので、その内容をご紹介いたします。

 

お客様 顧客 マーケティング

 

松野恵介氏著『お客様のことが見えなくなったら読む本』の感想

ご紹介する書籍は、松野恵介氏著(2019年)『お客様のことが見えなくなったら読む本 売れる人の超訳マズロー欲求5段階説』すばる舎 です。お客様の欲求の段階・種類に応じて、どのようにアプローチしていくのか?を豊富な事例とともに解説されています。特に印象的だったのは、以下の点です。少し長いですが、引用させていただきます。

 

例えば、あなたが旅行代理店の営業だったとします。

「爆買い」がなくなり商品の売上が落ちた。どうしようか……?と思ったときに、「コト消費」(引用者注:体験商品)に対応するプランをつくりなさい、と言われたとしてください。

あなたはどう考えますか?例えばこんなふうです。

「よし!これまでの商品は売れなくなったから、体験商品を考えなくちゃ!」

「そば打ちや陶芸、あとステンドグラスなんかもいいかな」

「乗馬も体験だよな……あれ?でも乗馬は日本らしくないか」

「じゃあ、日本らしい体験できるものって何だろう」

と考えるのか、

「よし!中国人観光客はどんなコトに興味があるのか考えよう!」

「やっぱり、中国の上海や北京というと人が多く雑踏の中にいるから、ゆっくりのんびりと日本らしく楽しみたいんじゃないだろうか?だったら、温泉につかって蕎麦打ち体験なども喜んでもらえそうだな!」

……発想がまったく違うでしょ。

(中略)

前者は、そば打ち体験や陶芸体験という、売れそうな体験商品ばかりに目が行っている。
後者は、喜ばせたいお客様に目が行っている。

前者は、商品を売ることを考えている。
後者は、人に喜んでもらうことを考えている。

前者は、結果的に売れなくなる。
後者は、結果的に売れ続ける。

 

松野恵介(2019年)『お客様のことが見えなくなったら読む本』すばる舎 pp.43~45

 

この箇所を読んで感じたのは「結局、何のために仕事をするのか?という仕事の目的が大切であり、目的によって結果も異なるのだ」ということです。つまり、自分の売上を伸ばすために仕事を進めるのか?それともお客様に役立つ仕事をし、その結果として自分の売上を伸ばすのか?によって随分、お客様の見え方が変わってくるのだということです。私が関わることの多い地域活性化の分野でも同様であり、地域をアピールするために仕事に取り組むのか?それとも訪れるお客様に対し役立つ仕事をし、その結果として地域をアピールするのか?によって、結果は異なるのだと思います。

当然ながら、「そんな青臭いこと言っていないで、すぐに売上を伸ばせ!」との考え方もあるでしょう。しかし、お客様のことを知らずに、どう売り続けていけば良いのでしょうか。目の前の売上目標や売れる商品ばかりを追い続けていても、疲れてしまい、長続きしそうにありません。

そこでまずは、お客様の「興味や関心のあるコト」や「不安や不満、不便に感じているコト」に対し、会社としてどんなお役立ちができるのか?を考え、行動しようと本書では提案されているのですが、その具体的な方法などについても触れられているので、今後、自分の仕事に落とし込んでいきたいと思っています。

 

おわりに

お客様にどのようなことができるのか?を一人ひとりの個人で考え、行動しても良いのですが、本書の後半ではチームあるいは会社として取り組むことが推奨されています。その際、会社としての思いや価値観を言葉であらわすことの大切さについても、事例を交えながら説明されています。

先程の「仕事の目的」もそうですが、会社としての「思い」や「価値観」という曖昧でモヤッとしたところを考え、言語化していくことの重要性についても本書を通して学べた気がします。売上にすぐにつながらないけれども、今まで見過ごしがちだった点を見直していくことが、実は売上増加の近道なのかもしれません。

 

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なお、著者である松野恵介先生とは縁あって10年ほど一緒に仕事をさせていただいております。これまでの講演やメルマガ、ブログなどを通じて発信されてきた内容をより読みやすくまとめた書籍となっているのですが、改めて一冊の書籍として読んでみると、頭の中がきれいに整理できた気がします。今年1年、何をしていくか?という良い指針となりました。