親族外への事業承継のポイント ~後継者の自信を醸成することが大事

 

新潟経済社会リサーチセンター銀山です。

本日は「経営のヒント ~多くの企業経営者からお話を聞いて感じたこと~」シリーズの第5回をお伝えいたします。

 

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事業承継ガイドラインが改訂されました

さて、平成18年に事業承継協議会より発表された「事業承継ガイドライン」が10年ぶりに見直しされ、昨年12月に中小企業庁より公表されました。

見直しされた背景としては、経営者の⾼齢化が進展してきており、放置すれば中小企業の保有する技術・ノウハウや雇用が喪失されるとの懸念があったからだとされています。また、事業承継が円滑に進めば、世代交代による事業の活性化も期待されます。

一昔前であれば、経営者の子供を中心とした親族内で事業は承継され、事業承継が大きな問題として取り上げられることはありませんでした。しかし、現在では親族内承継が減少してきており、事業承継が円滑に進みづらい状況となっています(図表1)。要因としては、時代の変化が激しくなり事業の先行きの見通しが立ちにくくなったため、事業を引き継ぐことに対する不安が以前よりも増してきていることなどが挙げられると思います。

 

図表1.規模別・事業承継時期別の現経営者と先代経営者の関係

b2_3_071(資料)中小企業庁「2014年度版 中小企業白書」

 

親族外承継の増加

一方、親族外の役員・従業員に事業を承継するケースが増加傾向にあります。メリットとしては、経営者として能力のある人材を見極めて承継することができることや、社内で長期間働いてきた役員・従業員であれば経営方針などの一貫性を保ちやすいといったことが挙げられます。

ただし、役員・従業員への事業承継では、引き継ぐ側に株式を購入する資金が不足している場合が多く、事業承継の大きなハードルとなっています。資金調達の手法としては、前出の『事業承継ガイドライン』によると、「①金融機関からの借り入れ〔後に〕、②後継者候補の役員報酬の引き上げで返済していくということが一般的」(〔〕内は筆者による加筆)とあります。もちろん、これは事業が順調に推移し、役員報酬を安定的に受け取れることが前提となってきます。

また、後継者が事業を引き継いで経営したときに、順調に利益をあげられる自信があるかどうかも、引き継ぐ際のポイントとなります。

それでは、後継者に引き継ぐ自信を持ってもらうにはどうしたら良いかというと、実際に事業を任せて経験を積ませるほかないようです。親族外承継が上手くいったケースをみてみると、後継者に会社の経営を早くから任せて、経営者が引退したあとも安定的な利益を確保できるという自信をつけてもらっています。そうした自信を持ててはじめて、借り入れなどをする覚悟ができるのだと思います。したがって、経営者は後継者に、経営者から引き継いだ後も、経営できるという自信を醸成することが一番大事だと思います。

 

まとめ

親族内承継では、後継者が子供のときから親である経営者の姿をみてきているケースが多く、その時から事業承継することへの意識が始まっています。例えば、子が40歳で事業を承継した場合、成人後、約20年間もの事業承継を意識する期間があり、そのなかで様々 な葛藤をしながら、事業を引き継ぐ覚悟を固めていく過程があります。

一方、親族外承継では、長期間勤務した役員・従業員でも、事業を引き継ぐことを意識することはなく、打診されて初めて意識することとなります。様々な責任がある経営者の職を引き継ぐ決意を決めることは、短期間ではできません。よって、親族外承継では、経営者が適任だと思う人に、事業を引き継ぐ覚悟を持ってもらえるよう、周到に準備していくことが必要だと思われます。

 

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