ホストファミリーの体験で感じた自動翻訳ビジネスの今後

 

こんにちは。新潟経済社会リサーチセンターの江口です。

今年もあっという間に、終わろうとしています。皆さんにとって、どのような1年だったでしょうか。特に思い出深い出来事などがありましたでしょうか。

私、個人としては、この1年で最も印象に残っている出来事として、夏休みに「留学生のホストファミリー」になったことが挙げられます。つまり、生まれて初めて留学生を自宅に向かい入れる、という体験をしました。今日はその際に気づいた点をお伝えしたいと思います。

ホストファミリー 売れ入れ

 

留学生の受け入れを体験してみて…

わずか数日でしかないのですが、海外の学生を受け入れた体験は、本当に素晴らしい思い出となりました。当初は、そもそも何を準備したら良いのか、どのような食事を提供すれば良いのか?休日はどのような場所に連れて行ったら良いのか…などなど不安だらけでした。

しかしながら、実際に留学生をお迎えする中で、その国での家庭生活や、趣味・学校の様子、仕事に対する姿勢などを聞いていくと、日本との違いを知ることが多く、とても刺激な毎日でした。何が常識で、何が正しいのか?それは国によっても、人によっても違うものだと改めて実感しました。

このような話を知人にすると、「英語が話せるの?」とよく聞かれます。正直、全く話せません。

では、どうしたのか?というと、いわゆるスマートフォンの翻訳アプリを頻繁に使いました。代表的な会話を指差しで確認し合える「指差し会話帳」のようなものを事前に用意していましたが、結局、ほとんど使わなかったのです。

下手な英語による会話に加え、お互いのスマートフォンにインストールしている翻訳アプリを通すことで、十分に意思疎通ができたのです。予想以上に使い勝手が良く、お陰さまで、それなりに深い会話ができ、結局、「指差し会話帳」が必要なくなったわけです。

 

翻訳アプリの上手な使い方

ただし、使い方には注意が必要です。長い文章や、くだけた会話、詩的な表現には向いていないことが段々わかってきたのです。

そこで、私が意識したのは次の点です

  • 短文にする。
  • 主語と述語を明確にする。
  • 事務的な会話でも良いと割り切る。
  • 相手に意味が通じなかった場合は、くじけず、文章を変えて翻訳してみる。
  • それでも通じない場合は、あきらめて、次の話題にうつる。

特に、最後が重要でした。残念ながら、意味が通じない場合は気にしないことが大切です。ダメなら固執せず、違う話題にした方が会話が弾みます。

 

翻訳アプリ

 

翻訳技術のビジネスへの活用

思いのほか翻訳アプリが活用できたので、「これはビジネスに使えるのでは?」と強く感じました。例えば、外国人旅行者を受け入れる地方旅館ならば、「指差し会話帳」を補完するツールとして、翻訳アプリの活用を試してみても良いと思います。

実際、翻訳技術は急速に精度が上がっており、様々な試験的な取り組みが広がっているようです。

例えば、東芝では11月中旬からイルミネーションで彩られた「福岡・天神地下街」で「商業施設向け同時通訳サービス」を提供しているようです。さらに2016年1月からは「軽井沢・プリンスショッピングプラザ」でも「商業施設向け同時通訳サービス」が導入される予定です。これは、来店者と接客担当者との会話がスマートフォンなどの画面上にリアルタイムで表示されるサービスです。各店舗で取り揃えている商品名などの訳語を辞書登録すると、より精度の高い会話となるそうです。

またパナソニックでは、六本木ヒルズ(東京都)とヴィーナスフォート(東京都)において「多言語自動翻訳機」の実用化に向けた実証実験を森ビルと一緒に9月に開始しています。

さらにパナソニックでは、ジェイティービーと協業しながら、和倉温泉 加賀屋(石川県)、京都ホテルオークラ(京都府)、JPタワー・KITTE内観光案内所 東京シティアイ(東京都)で、自動翻訳機の実用化に向けた実証実験を7月から始めています。ホテル・旅館や観光案内所などの外国人観光客が訪れる窓口に自動翻訳機を設置・運用し、国立研究開発法人 情報通信研究機構と一緒に研究開発してきた多言語翻訳技術を用いた自動翻訳機の実用化を進めるようです

その一方で、情報通信研究機構やパナソニックなど14の企業・団体が「総務省委託研究開発・多言語音声翻訳技術推進コンソーシアム」を10月に設立しています。百貨店、量販店、病院、タクシー、鉄道など様々な場所で、多言語音声翻訳システムの社会実証を進める予定です。

 

最後に

東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年を見据えて、翻訳技術は実用化に向けて急速に精度を上げているようです。したがって、遠くない将来に、自動翻訳機で不自由なく海外の友達や旅行者と会話ができる日がやってくるかもれません。

ただし、自動翻訳機は所詮、道具でしかありません。自動翻訳機があるのならば、なおのこと、言葉の背後にある相手の本心・興味・関心、不安・不満などに寄り添ってあげる姿勢を大切にしたいものですね。

 


 

資料:

東芝「訪日外国人の集客・接客をICTでトータルにサポートするインバウンドサービスの提供を開始」ニュースリリース2015年11月5日
(https://www.toshiba.co.jp/cl/news/
news201511_01.htm 12月7日アクセス)

パナソニック「『暑さ対策』『コミュニケーション』をテーマにヒルズで各種実証実験をスタート」プレスリリース2015年8月18日
(http://news.panasonic.com/press/
news/data/2015/08/jn150818-3/
jn150818-3.html 12月7日アクセス)

パナソニック「2020年に向けて観光分野で新たな事業創出と商品開発で協業
プレスリリース2015年6月22日
(http://news.panasonic.com/press/
news/data/2015/06/jn150622-1/
jn150622-1.html 12月7日アクセス)

情報通信研究機構「『総務省委託研究開発・多言語音声翻訳技術推進
コンソーシアム』
の設立について」プレスリリース2015年10月26日
(http://www.nict.go.jp/press/2015/
10/26-1.html 12月7日アクセス)