リノベーションを活用した賑わいづくりに関するレポートをまとめました


新潟経済社会リサーチセンターの小林です。

人口減少が進むなか、全国各地で空き家や空き店舗などの遊休不動産が増加しています。また、中心市街地が空洞化する一方で、住居や店舗などの郊外化が進んでいます。

このようななか、空き家や空き店舗をリノベーションし、新たな店舗や活動拠点として活用することに注目が集まっています。そして、リノベーションした店舗や拠点を地域内に広げることで、賑わいを取り戻すうごきが各地で出始めています。

そこで、ヒアリング調査などを通じて、リノベーションを活用した賑わいづくりの現状を整理するとともに、県内外における先進的な事例をふまえたうえで、
リノベーションによる賑わいづくりを推進するうえでの課題を調査レポートとしてまとめました。詳しくは「センター月報2019年5月号  リノベーションを活用した賑わいづくりの現状と課題」をご覧下さい。

リノベーション

リノベーションとは

リノベーションとリフォームのちがい

リノベーションとは、既存の建築物を活かしながら大規模な改造を行なうことです。具体的には、増改築や建築物の用途変更等を行ないながら、建築物の資産価値を高める、または新しい価値を加えることです。

一方、リノベーションに似たものでリフォームがあります。リフォームとは、老朽化した建築物について、古い部分の補修や内外装の変更を行ない、新築に近い状態に戻すことです。

リノベーションまちづくりとは

中心市街地や商店街などに点在する空き家や空き店舗をリノベーションにより再生し、その再生を複数手がけるなどして地域全体の賑わいを取り戻すのが「リノベーションまちづくり」です。具体的には、再生した空き家や空き店舗などにおいて、雇用の創出や産業振興、コミュニティの活性化を図りながら、エリア内における地価や魅力などの価値を向上させていくものです。

一方、中心市街地や商店街などにおいて、既存の建築物を一新して、まちづくりをする方法として再開発があります。再開発とは、既存の建物や構造物を取り壊したうえで、都市計画などに基づいてまちづくりを行なうものです。

リノベーションを活用した賑わいづくりの動向

全国における動向

各自治体が、都市再生などを手がける㈱リノベリング(東京都)と連携して運営する「リノベーションスクール」または、その関連イベントは全国の多くの自治体等で開催されています。「リノベーションスクール」とは、実在する遊休不動産を対象物件として、リノベーションを活用しながら事業を検討・提案する場のことです。具体的には、起業を志す人たちが、各自治体に実際に存在する空き家や空き店舗などの遊休不動産を対象に、いくつかのグループに分かれて、リノベーションを活用した具体的な事業の検討と不動産所有者への提案を行なうものです。

新潟県における動向

新潟県においても、リノベーションを活用した賑わいづくりのうごきが出始めています。2016年10月には、新潟県主催による公務員を対象とした「公務員リノベーションスクール@新潟県」が開催されたほか、19年1月には、糸魚川市の主催で「第1回リノベーションスクール@糸魚川」が開催されました。また、リノベーションを活用した賑わいづくりのうごきとして、町家や空き家の再生などの取り組みが県内各地で始まっています。

ただし、取り組みを始めたばかりの所が多く、「点」から「面」に向けたうごきは一部にとどまっています。

県内外における取組事例

県内外には、1軒のリノベーション案件から複数の案件を手がけることで「点」から「面」での賑わいづくりを進めてきた事例がいくつかあります。調査レポートでは、県内の事例として㈱テラスオフィス(新潟市)の事例を、県外の事例として 丸順不動産㈱(大阪市)と草加市(埼玉県)の2つの事例を紹介しています。



リノベーションを活用した賑わいづくりを推進するうえでの課題

今後は1軒のリノベーションから複数のリノベーションを手がけることで、「点」から「面」のリノベーションのうごきが重視されていくとみられます。調査レポートでは、県内外の事例などをふまえ、リノベーションによる賑わいづくりを推進するうえで、「点」から「面」に展開していく際の課題を以下の5つに整理しています。

①賑わいづくりの方向性の共有
②物件所有者と開業希望者との調整機能の充実
③綿密な事業計画の必要性
④遊休不動産に関する情報の蓄積
⑤情報発信による活動内容の周知

おわりに

リノベーションを活用した賑わいづくりは、遊休不動産が増加するなかで、その解消に向けた有効な手段の一つであることは間違いないとみられます。

そのようななか、遊休物件の所有者ならびにリノベーションを活用して事業を行なおうとする人双方には、高い志を持ちつつも、あくまで事業であることを理解したうえで取り組むことが重要と考えられます。同時に、自らの利益のみを追求するのではなく、地域との共存共栄を念頭に置いて事業を行なうことが求められます。