皆さんは「農業白書」をご覧になったことがありますか?

 

こんにちは。新潟経済社会リサーチセンターの神田です。突然ですが、皆さんは「農業白書」をご覧になったことはありますでしょうか?

農業白書とは、1961年に制定された農業基本法に基づく「農業の動向に関する年次報告」で、農業の現状や課題、食品産業の動向、農業の持続的発展などをまとめています。正式名称は「食料・農業・農村の動向」といいます。

先月、政府は2015年度の「農業白書」を閣議決定し公表しました。今回の白書では、今年2月に署名が行われたTPP(環太平洋パートナーシップ)協定について、「TPP交渉の合意及び関連政策」を特集として掲載しています。そこで、その内容を一部ご紹介したいと思います。

 

 

TPP特集の概要は…

TPP特集では、これまでの交渉の経緯、合意内容、TPP関連政策大綱の策定や経済効果について記述しています。参加12カ国合わせて8億人を超す巨大経済圏が誕生するとともに、TPP協定に伴い約14兆円の経済効果が見込まれるとしています。また、相手国の関税削減により輸出拡大が期待されると述べています。

農産物の輸出促進を強調するのは、TPP発効による関税の引き下げなど輸出環境が整備されることに加え、海外では「日本食や日本農産物は高品質でおいしい」と評価が高く「和食」がブームになっていることや、日本食レストランでニーズが高まっていることなどがあるためと思われます。

 

▲(資料)農林水産省「日本産農林水産物・食品の輸出(重要品目:8品目)」

▲(資料)農林水産省「日本産農林水産物・食品の輸出(重要品目:8品目)」

 

一方、日本の関税削減により、国内市場は海外の農林水産物との価格競争が懸念されるなど、さまざまな影響が起きる可能性も指摘されています。

 

▲(資料)農林水産省「品目ごとの農林水産物の影響(合計40品目)」

▲(資料)農林水産省「品目ごとの農林水産物の影響(合計40品目)」

 

こうした農業が受ける影響への懸念に対しては、国内対策を着実に実行して収益力を高め、攻めの農林水産業への転換を着実に進めていくと明記し、これまで政府が強調してきたメリットを改めて打ち出しています。

 

まとめ

白書では、産地の収益力向上や担い手育成、輸出拡大など攻めの農林水産業の推進に力を入れることで、「引き続き生産や農家所得が確保され、国内生産量が維持される」との考えも示しています。農林水産業への懸念や不安が払拭されるとともに、農業水産業の成長産業化が一層進むことが期待されます。