企業経営における2025年問題

 

新潟経済社会リサーチセンターの小林です。

本日は「企業経営における2025年問題」について、ご紹介いたします。

 

2025年問題

 

2025年問題とは?

「2025年問題」という言葉を聞かれたことがある方も多いと思います。この「2025年問題」とは、いわゆる団塊の世代(1947年~49年に生まれた世代)の人たちが後期高齢者(75歳以上)に達することで、医療や介護にかかる社会保障費の急増が懸念されていることです。

一方、企業経営に目を転じると、これから数年後の2025年頃には、企業経営者の多くが70~75歳を迎えることが予想されています。年齢別にみた経営者の人数の分布をみると、15年に最も人数が多い「65~69」歳の年代は、その5年前の10年時点では「60~64」歳の年代に該当して最も人数が多くなっています。同様に、その10年前の05年時点では「55~59」歳の年代に相当して最も人数が多くなっています。

つまり、大半の経営者が交代することなく、経営を続けてきたことが推察されます。そして、事業承継がなされずに、この状況が今後も続くとすると、経営者の高齢化が一層進むほか、廃業が多発することが予想されます。

 

 

事業承継に関する調査結果

事業承継や後継者問題に関する調査結果は、全国では「中小企業白書2017年版」「小規模企業白書2017年版」などはもちろんのこと、新潟県内でもいくつかみられます。弊社でも17年に調査を実施し、その結果については「新潟県における事業承継の現状と好事例その1」などで、ご紹介しています。

今回は、弊社の調査と同年の12月に、新潟県が発表した小規模事業者を中心とした「事業承継診断集計結果」(以下、「集計結果」)をみてみたいと思います。なお、調査対象は、県内の商工会及び商工会議所の会員で、経営者の年齢が概ね50 歳~60 歳代のうち後継者が不在と推定される18,861 件から対象事業者を抽出しています。

 

後継者候補がいても準備していない事業者が1/4

「集計結果」によると、後継者候補が「いる」と回答した事業者は49%、「いない」と回答した事業者は51%となっています。「いる」と回答した事業者のうち、「具体的に準備している」とする事業者は、「いる」と回答した事業者の約半分で全体の26%となっています。一方、残りの半分弱で全体の21%は「特に準備していない」としています。

また、「いない」と回答した事業者のうち、約半分(全体の24%)は、残念ながら「廃業予定」としています。一方、残りの約半分(全体の25%)は「事業承継したい」または「事業承継の準備をしたい」としています。

以上のように、県内事業者のうち、後継候補者がいて準備もしている所が1/4、反対に後継者もなく自分の代で廃業を予定している所が1/4となっています。一方、後継候補者はいるのに準備をしていない所が1/4となっているほか、後継候補者はいないが承継意思のある所が1/4となっており、これら2つに分類される事業者は何らかの対応を進める必要があるとみられます。

 

 

速やかな承継に向けたうごきが必要

「小規模企業白書2017年版」には、後継者決定企業が後継者の選定を始めてから了承を得るまでにかかった時間に関する調査結果が出ています。それをみると、「1年以内」と「1年超3年以内」を合わせた割合が5割超となっていますが、残りの5割弱が「3年超」となっています。つまり、後継者の選定と、その後の了解の取り付けまでには相当の時間を要している企業が多いことが分かります。

ちなみに「集計結果」の回答事業者の年齢構成のうち、「60歳~64歳」(18.7%)、「65歳~70歳」(24.4%)、「71歳以上」(19.1%)を合わせた『60歳以上』(62.2%)は6割を超えます。上記の後継者の選定期間や、その後の説得期間、その他の準備期間を勘案すると、新潟県内の多くの事業者が事業承継に向けたうごきに取り組むタイムリミットに直面しているとみられます。後継候補者の有無に関わらず、まだ具体的な準備をしていない場合には、改めて自社の今後の方針(存続か、廃業か)を再確認することが必要とみられます。そのうえで、その方針に沿って、早急に具体的な行動を起こすこと(例:支援機関や金融機関などへの相談等)が求められているとみられます。