2019年 旅のトレンド予測

新潟経済社会リサーチセンターの江口知章です。

本日より仕事始めの方が多いのではないでしょうか。今年1年が幸多き年となりますよう心よりお祈り申し上げます。

さて、私どもの機関誌「センター月報」では、年初に「旅のトレンド予測」を毎年、お届けしておりますので、本日はその原稿の一部をご紹介します。なお、執筆は毎月、連載をお願いしている井門観光研究所の井門隆夫先生です。

2019年旅のトレンド予測

第3位から第1位までのトレンドは?

井門先生が予測する旅のトレンドは、次のとおりです。

第3位 地方で副業

働き方改革も進み、サラリーマンの残業が減ってきている。また、副業を解禁する企業も増え、趣味と実益の両面から就業時間外に副業を行なう人も増えつつある。残業がなくなった平日の夜に副業というやり方もあるだろうが、それでは職種が限られてくる。むしろ、休日に副業という選択肢のほうが現実的だろう。

一方で、地方の人手不足が年々顕著になっている。特に、2019年は月曜祝日が多く、三連休がとても多い。そのため、適度に休館日を設けなくては、従業員の休日が確保できない。しかし、営業しなくては、必要なキャッシュが得られない。こうした状況に悩む経営者が少なくない。そうした場面で提案したい。「都市で働く皆さんで、副業が可能な方は、連休に自然の豊かな地方で働いてみませんか」。そんな発信をしてみるのはどうだろう。実際に、長野県の上高地では、休みの都度働きにくるサラリーマンやOLがいる。もちろん、休日は家族サービスという方も少なくないと思うが、必ずしも多数派ではなくなりつつある。むしろ、自然や山をみながら仕事をしたいというニーズが潜在化しているのではないだろうか。

(中略)

第2位 美食列車・美食船

2019年10月から、新潟県・庄内エリアデスティネーションキャンペーンが予定され、期間中、新しい観光列車「海里」が新潟~酒田間を走る。列車のコンセプトは「新潟の食」と「庄内の食」、そして「日本海の景観」。その魅力を感じられるような美食が、4号車に予定されるダイニング車輛や売店で提供される予定で、今から楽しみである。

こうしたレストラン列車はここ1~2年で急増。JRだけではなく、第三セクターや首都圏の私鉄も参入し、全国に広がりをみせている。大きな車窓から妙高の山々を眺めながら越後トキめき鉄道を走る「雪月花」の三段重はおそらく日本一豪華な弁当といっても過言ではない。食前酒のシャンパンに越後の銘酒を傾ける時間は最高だ。首都圏の西武鉄道では、新宿や池袋から秩父までコンペティションを受賞した若手料理人のキッチン車輛を設けた「52席の至福」を運行。イタリアンの美食に合わせる酒は、入手困難といわれる秩父の樽で寝かせた地ウイスキー「イチローズモルト」というのも話題を呼んでいる。

一方、2泊、3泊とするクルーズ列車や瀬戸内海を周航する19室のクルーズ船「guntu」の人気も衰えるところを知らない。

(中略)

第1位 分散型ホテル

2018年6月の旅館業法改正により、旅館・ホテルの建物にはフロントの設置義務や複数客室の必要性がなくなったため、1室しかなくフロントを設置しない建物でも概ね10分以内に事務所があれば、旅館・ホテルとして登録できるようになった。

また、200㎡以下は建築基準法上の確認申請が不要になった。このことからも、一定の範囲に点在する複数の古民家や建物をまとめて1軒の旅館・ホテルと見立てる「分散型ホテル」が各地で計画されている。これまでは、1軒の旅館・ホテルに食事や温泉などすべての機能を集中させ、館内で完結するほうが喜ばれた。しかし、増加する訪日外国人等の滞在客は、それでは逆に満足しない。いかに、周辺のまちの機能と融合し、まち全体で楽しむことができるかどうかが重要になってきている。

町家をオーナーから長期賃借して改装し、複数の町家をまとめて同一ブランドで統一する。

(中略)

地方でも、1軒の旅館が核となり、複数の旅館や古民家をサテライト客室として登録するような手法が進めば、地方の魅力の創造や空き家の防止に役立つだろう。

集中から分散へ。地方観光経済の2019年のキーワードになるのではないだろうか。

井門隆夫(2019)「観光イノベーションで地域を元気に 第22回」『センター月報』2019年1月号

感想

井門先生は、地方観光経済の2019年のキーワードとして「集中から分散」を提示されています。自分の住む街のなかで「集中から分散」できることはないか?他地域と連携することで「集中から分散」できることはないか?などと考えを巡らせてみると、新たなチャンスに出えるかもしれません。

なお、第4位と第5位あるいは全文については、私どもの機関誌「センター月報1月号」をご覧下さい。