2018年 旅のトレンド予測

 

新潟経済社会リサーチセンターの江口知章です。

本日まで仕事がお休みで、明日から仕事始めの方が多いのではないでしょうか。今年1年が幸多き年となりますよう心よりお祈り申し上げます。

さて、私どもの機関誌「センター月報」では、年初に「旅のトレンド予測」を毎年、お届けしておりますので、本日はその原稿の一部をご紹介します。なお、執筆は毎月、連載をお願いしている井門観光研究所の井門隆夫先生です。

 

2018年旅のトレンド予測

 

第3位から第1位までのトレンドは?

井門先生が予測する旅のトレンドは、次のとおりです。

第3位 素泊まり宿

全国各地の有名温泉地で素泊まり宿が増えている。それも、リノベーションして快適な客室を備え、朝食は老舗旅館がプロデュースしていたりする、ハイクラスな素泊まり宿だ。

(中略)

なぜ、素泊まり宿が増えているかと推察すると、町なかに閉館した旅館があることが景観上マイナスになるということや、デフレが長く続き客単価が下がっているという事情もあると思うが、最大の魅力は、旅館が二館目、三館目として素泊まり宿を造ると、単純に利益率が高まるからである。

旅館業にとって大きなコストが食事提供コストだ。舌の肥えた消費者が満足する料理を一品ずつ提供しようとしたとき、料理原価と人件費が販売単価に比してとても大きくなる。といって、食事提供をやめるわけにはいかない。そうしたときに、「別館」として食事提供をしない(調理場を持たない)素泊まり宿を持っていると、稼働の高い客室が増えることとなり、旅館として利益率が高まるというわけだ。昨年観光庁が「温泉地に『泊食分離』を導入する」と発表した裏側には、こうした背景もあると思う。

(中略)

 

第2位 グランピング

ここ1〜2年、たまに聞くようになった「グランピング」。グラマラスなキャンピングの略語で、リッチなテントに寝泊まりしたり豪華な食事をしたり、アウトドア型のリゾート施設を指す。

(中略)

グランピングが支持される背景には、キャンプがコミュニケーションツールとして機能するという理由も隠れていると思う。働く時間や生活時間が細切れとなり、LINEでしかつながっていない人々がつながるためにBBQ(バーベキュー)や鍋がツールとなるためだ。しかし、鍋は自宅でもできる。非日常感を醸し出すツールとしてキャンプが機能する。ただ、道具一式 を用意するキャンプでは負担が重い。誰も何も用意せずにできるキャンプとしてグランピングはうってつけなのだ。

 

第1位 若者宿/シニア宿

2018年の第1位としたのは、若者やシニアが客をもてなす「家主居住型民泊」だ。6月には、住宅宿泊事業法が施行され、宿を運営するハードルが一気に下がる。世界的にOTA(オンライントラベルエージェント)の勢いが止まり、株価が下がり始めた。その一方 で、民泊マッチングサイトであるAirbnb等の伸びが顕著となっている。

(中略)

年間営業日が180日までと決まっているが、簡易宿所の新形態としての民泊は今年、一気に増えることだろう。

民泊として姿を変えるのは、町なかの空家だ。その空家を民泊として運営するのは、地域の若者たちやリタイア組のシニアだ。いずれもUターンやIターンの移住組で、関係人口から定住人口となった人たちである。なかには地域おこし協力隊として活躍していた若者も含まれてくる。彼らは、本業は別に持っていたり、年金を受けていたりする。あくまで民泊は本業としてではなく、副業として運営することが多い。

なかには改装にかかる初期投資費用として、地域の自治会・町内会の基金がファンドとなる英国流のシビック・エコノミーの芽吹きも出てくることだろう。

(中略)

時代は、団塊の世代が市場を担ってきた40年間から大きくシフトチェンジしようとしている。平成が一年間続く最後の年となる2018年。次にくる時代に向けて持続可能な地域デザインの方向性がみえてくる年になりそうだ。

 

井門隆夫(2017)「観光イノベーションで地域を元気に 第10回」『センター月報』2018年1月号

 

まとめ

第1位は「若者宿/シニア宿」との予想です。実際、単なる民泊ではなく、改装にかかる初期投資費用を、空き家対策の一環として、自治会・町内会が資金を拠出するようになると、従来とは異なる地域再生につながるかもしれません。

こうした流れが生まれるかどうか、今年のチェックポイントの一つとして注視していきたいと思います。