早くも課題が持ち上がった機能性表示食品制度  ~取り組みやすい成分は~

こんにちは。新潟経済社会リサーチセンターの高田です。

先月、本ブログにて、機能性表示食品制度が開始されたことをご紹介しました。制度開始から約1カ月の間にいくつかの商品が消費者庁に届け出られました(5月8日現在、21商品)。しかし、開始早々から制度の課題が持ち上がっています。

 

健康的な食事

 

 

機能性・安全性確保を企業に任せることの弊害

以前にも紹介したように、機能性表示食品は、製造する企業の責任で機能性と安全性を確保するものです。企業は、商品を販売する60日前までに商品情報を国に届け出る必要があります。機能性表示食品の届け出内容については消費者庁のホームページで閲覧できます。

消費者庁のホームページでは、機能性表示食品に関して、一般向け公開情報と有識者等向け公開情報の両方が表示されており、その内容を見た有識者から疑問の声が上がりました。

機能性や安全性そのものへの疑念

1つは、かつて特定保健用食品(トクホ)の審査で「提出されたデータからは安全性が確認できない」とされた商品が、機能性表示食品として届け出られたことです。現時点では、データが不足しているだけなのか、本当に安全性が確認できないのかは断定できませんが、消費者庁は機能性表示食品の撤回を求める可能性があることを示唆しています。

機能性表示食品について、消費者庁は届け出に必要な要件を形式的にチェックするだけで、届け出内容を審議することはないため、こうした問題が発生しました。

機能性や安全性の検証実験の不備・不足に対する疑念

もう1つは、一部の機能性表示食品において、機能性や安全性を検証した実験内容に不備や不足があると有識者が指摘していることです。届け出ている企業の側からすると、十分な検証実験を行っていると考えているのでしょうが、立場や見方を変えると異なる意見や評価も出てきます。

したがって、公正な第三者機関から実験・評価してもらったり、複数の機関から実験・評価してもらったりするなど、疑念を抱かれないよう万全な検証作業が今後必要になってくると思われます。

 

機能性表示食品に対するチェック機能が働いたという面も

販売の60日前までに商品内容を届け出ると定められているため、機能性表示食品の販売は6月以降となる予定です。

今回のような意見があがったことは、各商品に対して販売前の事前チェック機能が働いたとも言えるので、良かったのではないかと考えています。こうしてあがった意見についても、消費者庁で取りまとめて公開すると、制度の信頼性が高まるのではないかと思います。

 

既に周知されている機能性成分は取り組みやすい

機能性表示食品制度の開始により、新しい機能性成分を使った商品が開発されると期待されていますが、現実にはなかなかハードルが高いようです。

実際、これまでに届け出された機能性表示食品の中には、ビフィズス菌や難消化性デキストリン、イソフラボンといった、既に特定保健用食品(トクホ)で使われている機能性成分を使った食品も多くなっています。

特定保健用食品(トクホ)は認定取得に時間もお金もかかるため、機能性表示食品制度を使うことで、これまでより短い準備期間かつ低価格で機能性をPRできるというメリットがあります。初めて機能性表示食品制度に取り組む企業にとっては、よく知られた機能性成分を活用した方が取り組みやすいかもしれません。