新潟県、水素エネルギー普及に向けた取組を開始 県内初の水素ステーションが間もなくオープン!(その2)

 

新潟経済社会リサーチセンターの佐藤です。今回は新潟県における水素エネルギー活用や燃料電池自動車(FCV)普及に向けた具体的な計画、今後の課題などについてご紹介します。

 

水素 エコ・ドライブ 電気

 

県内初の水素ステーション、間もなくオープン!

2018年7月、県が公募した水素ステーション設置事業について、「岩谷産業株式会社、日本水素ステーションネットワーク合同会社の2事業者が共同で取り組む」との発表がありました。計画によると19年2月頃、新潟市(中央区東出来島、県庁近隣)に水素ステーション(以下「水素ST」)が建設される予定です。本県ではもちろん、北陸、東北の日本海側で初めて設置される水素STとなります。水素STの設置とともに、県内においてどのように燃料電池車(以下「FCV」)の普及を図るのかなどについて新潟県(産業振興課)に話をうかがいました。

 

水素ステーションのイメージ(岩谷産業株式会社提供)

 

FCV普及、まずは県民へのPRから

さて、現在のところFCVの車両価格は1台700万円強です。国の補助金を活用しても500万円程度と一般の消費者にはなかなか手が届きにくい価格です。水素STのオープン時に誰がFCVを活用するのかという点については、まず新潟県と新潟市が率先して1台ずつ導入し、FCVの普及啓蒙に努めるとしています。両者の導入とあわせ、環境問題に積極的に取り組む企業などによる導入を期待しているとのことです。

 

国内のFCVはClarity Fuel Cell(ホンダ)とMirai(トヨタ)の2種   写真はClarity Fuel Cell

 

水素STの採算性確保には、FCVだけでなくFCバスやFCフォークリフトなど燃料電池仕様とした様々な車両で水素を活用し、十分な水素需要を維持する必要があります。

特にFCバスの活用は大きなポイントとなります。FCバスが使用する年間水素量はFCV 92台にも相当します。路線バスの運行が発達している地域にFCバス数台を導入することで、FCVが消費者に普及していない初期段階においても安定した水素需要を創出できます。

また、工場で運転されるフォークリフトなどの多数の作業車も、FC仕様に切り替えることで、安定的な水素需要を生み出すことが期待されます。工業団地内に小型水素STを設置して、団地内の工場が共同で活用するなどの方法が考えられます。

当面は県内の水素STは1カ所であることから、車両の走行区域をある程度限定できる行政の公用車や路線バスなどが有力な水素需要家となります。FCバスを早期に運行することは、消費者へのPRの点でも大きな効果を発揮すると思われます。大勢の乗客が「水素で動くバス」を自動的に体験するうえ、車内で「環境に優しい」などFCバスの解説に努めることで、水素エネルギーの可能性やそれを活用する次世代自動車の理解が広がると期待されます。

水素STの整備、もう一段の車両価格低下、燃料となる水素価格の低減など、課題は少なくないですが、環境に優しいことに加え、モーター駆動のため静かで振動が少ないなど、優れた特徴をもつFCVやFCバス導入の動きが県内に広がることを期待したいものです。

 

(コラム)水素を「貯めておく」ことの可能性 再生可能エネルギーで発電した電気を無駄なく利用!

エネルギー源である水素は、自動車の燃料電池のほかにも様々な活用方法が検討されています。水素の大きな特徴のひとつは「貯めておく」ことができる点です。

新潟県は太陽光、風力などの再生可能エネルギー活用のポテンシャルが高いとされますが、これらの方法による発電は、天候により発電量が大きく変動するため需給調整が難しいです。このため、たとえば太陽光による発電量が過剰の際に、余剰電気により水を電気分解し、水素にして貯めておきます。その後電力不足が生じたときに、貯蔵していた水素を使って発電するなどで、中長期に渡る電気の需給調整が可能となります。水素は気体や液体の形態で大量に、長期間保存することが可能であり、蓄電池で電気を保存する場合のように、蓄電池の容量が足りない、時間の経過とともに放電してしまうなどの問題が生じません。エネルギーマネジメントの観点からも大きな期待がかけられています。

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「センター月報」 2018年9月号「潮流 県内最新トピック第19回」を加除修正しました。